彼女は、優秀なスパイであった。
自己犠牲も、辞さない。
今度の任務は、長期になるだろう。
とはいえ、家族とも恋人とも、疎遠になるのも覚悟の上である。
彼女は、たった一人、孤独な旅を始めた。
今度の任務は、命がけになるだろう。
なにしろ、地球人が触れてはいけない宇宙の秘密を探りに行くのだから。
(どうして、そこまで知りたいのかしら?)
心の中では、そう思っていても仕事である。
私情は、はさまないのが彼女のポリシーである。
宇宙の片隅で、誰も助けを借りられない。
覚悟は、できていた。
彼女の任務は、邪魔が入り完了できなくなった。
(私が引き受けなければ、誰かが犠牲になっていたはず…)
意識を失いながら、自分は誰かを救ったのだとほほえむのだった。
「このまま、私ほんとに星になれたらよかったのに。
子供の頃の夢は、星になることだった。
だけど、随分遠回りしたけど、かなったのかもしれない…」
女スパイの名前は、ひとみといったが星にそんな名前があるのか、確かめる方法を書き手は知らない。(終わり)