(創作)夜の光景 | ネムリ・モヤのブログ

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アートと旅と食を愛す孤高の仮面ライダー好き女

「人間は、空に向かったか」
「はい。あるものは高い塔に登り、他のものは空を飛ぶ乗り物に乗っております」
「他のものはどうだ?」
「速く走れる乗り物に乗り、速く走れる道を進んでおります」
「いったい人間は、何がやりたいのだろうな?」
「空にいたいということは、星になりたいのでしょうか。それとも光のように速くなりたいのでしょうか」
「人間自体に、発光力はない。だが、何か一生懸命にやっていると『輝いている』と表現するようだ。やはり、人間は、光になりたいのだ」
「光ると目立ってしょうがないと思いますが…」
「そろそろ、我々の電球の交換時期が来たようだ。人間達の足元を照らす仕事…。とても重要だと思うんだが、なかなかここは人が通らない。だから誰も切れかかった電球に気がつかない…。身近な我々の光を大事にしないで、何が光になりたい?情けないったらしょうがない…」
二つの街灯が、静かにまばたきを朝まで繰り返していました。(おわり)