1975年頃から、英米のロックやポップスをラジオで聞くようになったのです。当時は海外のヒット曲を流す番組が結構多く、私は日本のアイドルの流行には関心が無くてTV番組はほとんど見なかったけど、ラジオはよく聞いていたのです。ロックバンドやポップスターの記事を載せる雑誌もあったのですが、私は見た目にはそれほど関心が無くて、とにかく曲が気に入るかどうかだけでした。で、いつものようにDJが「今、こんな曲が流行ってるよ」とラジオ番組で流したボヘミアンラプソディーを聞いた時に「何だ、これは!しかし凄い、マジで凄い」と思ったのです。今にして思えば、いきなり聞いた最初に「凄い!」と感じた自分を褒めたいところ。
クイーンは「キラークイーン」という曲が日本で既にヒットしていて、その見た目から女性ファンが増えていたようですが、先にも書いたように私は特にバンドの人物にはさほど関心は無かったのです。でも「ボヘミアンラプソディー」を聞いた時に思いました。これは凄い曲だ。こんな曲を作って歌う人は凄い人だ、と。今でこそ「ボヘミアンラプソディー」は押しも押されもせぬロック界の金字塔で、伝説の名曲ですが、レコード会社からはシングルカットして発売するには難色を示されたのですね。「こんな訳の分からん長ったらしい曲」をわざわざ売るかよ、というのが上層部の感想。やはり干からびたオッサンの感性はダメなんだな。でも、「ボヘミアンラプソディー」を何の知識も無しに本当に初めて聞いて、「凄い、素晴らしい!」と思える人がどれほど居るか怪しいのも事実でしょう。
ゴッホの「ひまわり」とかピカソの「泣く女」とかと同じで、「凄い作品」という評価が確立してるから、教科書にそう書いてあるから、凄いと思う人もかなり多いはず。実際はそちらの人のほうが多いのかもしれない。「今までこんなものは見たことが無い、聞いたことが無いけど、現に提示されればその凄さに圧倒される」経験は本当に嬉しいものです。それまで全然知らなかったグールドの弾くバッハを、FMラジオで偶然初めて耳にした時もそうでした。それをこれから先、どれだけ経験できるやら。