「野生動物を人間が育てると、往々にして野外で自力で生活できなくなる」と言われますね。これぞその見本、という動画を見たことがあります。おそらく生成AIでそれらしく作ったものではないと思ったのですが、どうでしょうか。とにかくドンピシャで、大笑いせずにいられないものでした。

 もう成鳥になっていると覚しき鳥(カラスに似ていたけどカラスではなかったよう)が、小さなミミズを追いかけては、口を大きく開けています。嘴でつまんで飲み込めばいいのに、決してそうはしません。ミミズの側で口を大きく開けているだけなのです。その姿があまりにも滑稽で大笑いしてしまいました。ミミズはアスファルトの道路端を移動しています。鳥が近寄っては口を開けて待つこと3度ほどでしたか。ついばむことをせず、ただ開けているだけの鳥の口中に、ミミズが自分から飛び込んでくれるはずもなく、潜り込める所を見つけたミミズは捕食されることなく身体を隠せたのでした。鳥のほうは、眼前におあつらえ向きのミミズを見つけながら、食事にありつけなかったわけです。

 雛鳥には親鳥がせっせと餌を運んで口中に入れて育てますが、あれは「本当にそうしなければならない期間だけ」なのですね。涙ぐましいほどせっせと親鳥は餌を運びますが、いつまでもそうするのではなく、時期が来ればさっさと子を巣立たせます。野生動物では、そのタイミングの見極めが的確で潔い。人間が野生動物の赤ちゃんを育てると、よほど注意深くなければつい長く世話をやきすぎて、自力で生きていく術を身につける機会を失わせてしまうのでしょう。人間の場合も「魚を与え続けるのではなく、魚の捕り方を教えよ」で、同じではあるのですけど。