カシミア100%のカーディガンを1枚だけ持っています。灰色の無地で何の変哲も無いカーディガンなのですが、軽くて柔らかくて暖かい。何のブランド品でもないけど、品質は確かに上等。ずっと利用している服飾通販の品物で、その会社にしては高価格のものだったのです。買ったのは十数年前で、でもあまり着ていなくて。防虫剤を取り替えながらずっと衣装ケースに入っている状態だったのですが、ふと思ったのです。良いものこそ、日常で着用しなくては、と。着心地の良いものこそ、普段遣いするほうが良い。で、この冬はしょっちゅう着用しています。

 私の人生ももう残り少ないと実感するこの頃。まあ、後期高齢者とされる年齢にはまだ十数年有るのですが、なんだかなあ、とてもそこまで生きているようには思えないのです。でもこんなことを言う人間ほど、超長生きしたりするのでしょうか。なるほど父方にも母方にも早期にがんを発症した人はおらず、心疾患で突然死したような人もいないのですが、しかし私自身がずっと低空飛行でよろよろと生きてきたことも事実です。そして近頃の世情があまりにも情けなく醜悪で、無力感に襲われている状態。後もう一つまとまった文章を残そう、という気持ちが以前ははっきりしていたのですが、まとめて書き上げる集中力というか、胆力がどうにも出てこない。