最近は気の滅入るニュースが多いので、ここで恒例の、というかこれまで何回か書いた「勘違い話」を。「ふわし」(最初の記事を参照されたし)とか、「目が本にもなる」系統です。

 昭和の頃は大ヒット曲というのが1年に数曲有って、誰でもその曲を聞くと「あぁ、あの年はこうだった」と思い出せるような状況でした。TVやラジオから流れるだけでなく、商店街の有線放送などでその曲が繰り返し耳に入ってくる時代だったので、全部は知らなくてもサビの部分は歌える人が多かったのです。なので私も、演歌や歌謡曲に興味はなかったものの昭和期の大ヒット曲はだいたい知っています。

 テレサ・テンさんは若くして亡くなられましたが、日本でかなり人気のある歌手でしたね。彼女のヒット曲に「別れの予感」という題で、サビの歌詞が「あなたをこれ以上愛するなんて私にはできない」というのがありますが、私はそれを「もうあなたとは無理」と女性側が言ってるのだと思っていました。でも勘違いでした。或る時、歌詞全部を見る機会があって判ったのです。「もう無理」どころか、「これ以上は不可能なほど最大限にあなたを愛しています」とその女性は言ってるのですね。それほど男に都合のよい女がいるものか、とか、逆にそこまで女に媚びる男なんかいないよね、とか、ツッコミどころ満載の昭和歌謡曲ですが、しかしそこまで好きだと思える相手がいるというのは、羨ましい限りではあります。とにかく全部を読んでみなければ、言いたいことは判らない。

 つまり「別れの予感」とは、男性側の心が離れていきそうだ、ということなのですね。それでまた私個人としては、自分の誤解の原因に納得できました。「もう好きじゃない」とか「別に好きな人ができた」とか言う男の人を「それでもまだ私は好きです」という感覚が私には全然無いので。「自分のことをもう好きじゃないんだ」とか「他の女の人と天秤にかけてる」と思った時点で自分の気持ちがすっと冷めてしまいます。でも考えようによってはこれはこれで「都合のよい女」かもしれません。嫌だと思えばさっさとスンナリ別れられるわけですから。勿論相手が配偶者なら、しっかり補償はしてもらいますけど。笑