三話

「警告」



「先輩?どうしたんですか?先輩?」
目の前にコーヒーを持った手をひらひらさせている小暮さんがいた。
「あれはなんだったんだ」首の辺りを触ってもいつもどうりの感覚。
確かに僕は鎌の女に切られた・・と思う。
しっかりと痛みも感じたしあれが幻想だとは思えない。
そう思いながらも僕の耳にはあの言葉が繰り返されていた。
「コノジケンカラテヲヒケ」はっきりとそう言ったに違いない。
あれは何かの警告だったのだろうか?
「先輩?何か言いましたか?」「あっ・・いいえ。気にしないでください独り言ですから・・・」そう言うのと同時に携帯の着信が鳴った。
「ひいいっ」隣で巨体が激しく揺れベンチ全体も共鳴するように震える。
「落ち着いてください、小暮さん。きっと羽黒さんですよ。」
携帯を見てみると羽黒薫と画面に表示されている。
「ほら、羽黒さんですよ。」そう言って僕は電話に出た。

もう時刻は8時を過ぎている。
公園の周りは異常なほどの静寂と闇に支配され、僕でも小暮さんがいなかったら心細かっただろう。
羽黒さんからの電話はやはり斉藤の住所が分かったと言う電話だった。
住所をメモして公園を後に、斉藤の家に車を走らせるのだった。
教えてもらった住所にはアパートがあった。
その容貌は見るものにとても古ぼけた時代を感じさせた。
早速、メモした部屋番号に足を運び名札を確認すると表札には斉藤と書かれていた。新聞受けには大量のチラシや新聞などが山の様に積み重ねられていて扉の前にも散乱していた。
その一つを見てみるとなんと、一年も前の新聞だった。
その様子を見ると人が住んでいる気配など微塵も感じなかった。
チャイムを押してもノックをしても誰も出てくる様子が無かった。
部屋の中に監禁している可能性もあるのだが物音一つ聞こえない。
僕は小暮さんと顔を見合わせドアを蹴破ることにした。
「これで監禁してなかったら僕たちどうなるでしょうね」
「私は先輩と一緒ならばたとえ火の中水の中、どこへでもお供します」
「しかし、中に犯人が潜んでいる可能性もあります。くれぐれも気をつけてください」 「はい!その時は本官が命を賭けて先輩をお守りします。」
頼もしい声と共に僕はわずかな希望に望みを賭けてドアを蹴破った。
呆気なく開いたドアを下に、警戒しながらも中へと入っていった。
部屋は一つで入った瞬間に見渡せた。
犯人が隠れるスペースなどは当然無く、信二君もいなかった
「どうやらハズレのようですね」 「いえ、ここは容疑者の家です探索すれば何か見つかるかもしれません。」
そう言ってみるも部屋全体が埃に被っていて持ち主がしばらく帰って来てないことを僕たちに知らせた。
しかし、何の手がかりも無く帰る事は難しかった。
小暮さんに部屋の探索を頼み、僕は部屋の隅にあるパソコンのデータを調べた。
しかしデータはすべて削除されており何も見つけることは出来なかった。
「先輩!日記を見つけました。」小暮さんが大きな声で叫ぶ「日記ですか?しかし女性の日記を見るのは良心が傷む気がするのですが・・・。」「それは本官も同じです。しかし、部屋全体をくまなく調べましたが手がかりになりそうな物はこれしか発見できませんでした。」「読んで見るしかないでしょう。」
確かに部屋には何も残されてはおらず、唯一の手がかりになりそうなのは日記。事件解決に繋がると信じて良心には目を瞑ってもらう事にした。
「分かりました。その日記を読みましょう」そう言うと僕らは日記の一ページを開いた。