「迷い道」(1977)、「かもめが翔んだ日」(1978)の連続ヒットは渡辺真知子の生活を一変させたという。サードシングル「ブルー」(1978)のカップリング曲となった「光るメロディー」は、その変化に対する混乱と戸惑いを吐露した曲であると渡辺は述懐している。「ブルー」は渡辺が「自由に作っていい」と言われて思うがままに書いた曲だそうで、松任谷由実や矢野顕子もお気に入りらしいが売上という点では前2作に及ばなかった。「ブルー」の収録されたセカンドアルバム「フォグ・ランプ」(1978)も、全編船山基紀アレンジで冒頭に船山作曲のインストゥルメンタル「オーバーチュア」を置き、渡辺作詞作曲の自作のほか一部の曲の詞を伊藤アキラが手がけているというアルバムの造りが前作「海につれていって」(1978)と同じということもあって、この前作に比べると全般的に地味な出来となってしまった印象が拭えない。

 

前記のとおり冒頭が船山作曲のインストゥルメンタルで切れ目なく「今夜は踊って」にと繋がっていくのは前作アルバムと共通なのだが、こちらの「オーバーチュア」は前作と比べてずっと長く、一体いつになったら歌が聴けるのだろう?と気を揉ませる展開だ^^; 曲自体は場を盛り上げるのにほどよい高揚感があるのに、「今夜は踊って」の始まり方が地味なので却って本題でトーンダウンしてしまっているように感じてしまうのが惜しい。後半は渡辺らしく盛り上がってくるが物足りなさが残る。

 

次の「ブルー」でようやく渡辺らしいメリハリの利いたタッチの曲が聴ける。これはメランコリックな感の佳曲だが、先のシングルに比べて売上が及ばなかったのは、曲想のためもあって地味に感じてしまうのが裏目に出てしまったのか。自分は最初のシングル2曲はもちろん次のシングル曲「たとえば…たとえば」(1979)も何となく聞き覚えがあるのに、この「ブルー」だけはどうも以前聴いた記憶がない^^; 続く「赤い服」「今はどのあたり」でやや停滞感をおぼえるが、LPでいうA面最後の表題曲「フォグ・ランプ」は、哀感漂う暗い情念を感じさせてなかなか聴きばえのするものだ。これは伊藤の手になる詞だが、前記「光るメロディー」と近い雰囲気を持ったものであり、渡辺の意を汲んで書かれたようにも見受けられる。また、それだからこそ表題曲とされたのであろう。

 

LPでいうB面冒頭の曲「予告編」も詞は伊藤が手がけている。ピアノとストリングス主体の美しいアレンジでメランコリックな、自分好みな曲だ^^; そして前出「光るメロディー」が続く。ようやくここで「迷い道」を思い出させるようなパワフルさを感じる歌唱が聴けたという印象。このアルバムは全般的に前作アルバムで感じたような初期の中島みゆきっぽい雰囲気は薄らいでいるが、B面3曲目「少しはまだ悲しいけれど」は幾分中島の曲を聴いているように思える場面がある。ややおとなしめな「黒い天使」を経て、アルバムはアグレッシブな「ミッド・ナイト」で締めくくられる。「ミッド・ナイト」は曲想にダイナミックなところがあって盛り上げようとする意図を感じるが、テンポが速めなのもあって意外とあっけなく終わっているような気がする。