嶋大輔というと、こんにちではおそらく「男の勲章」(1982)で知られている歌手ということになろう。かくいう自分も、当時中学1年であったが、この曲にはとても惹かれたものだ。その頃勃興していた機動戦士ガンダムブームを横目に松本零士作品に変わらずのめり込んでいただけに、精神的な意味での男らしさが大きなテーマであった自分に通じるものがあったということだろう。あいにく嶋への関心は長く続かず、より自分の性分に似合ったおとなしめの音楽へと好みは移行したが^^;、サラリーマン生活から足を洗ったある夜、レンタサイクルにて勤め先から帰宅する際、ふと思い出して口ずさんでみたくなったのが「男の勲章」の次のシングル曲「暗闇をぶっとばせ」(1982)であった。全曲おぼえていたわけではなくかつバイクでなくチャリというのはアレだが^^;、「生傷たえない 俺はチャレンジャー/牙をむいた 野良犬/暗闇を引きさく 俺の叫びは/明日への挑戦状」というフレーズには、若かった頃を思い出させてしみじみとしたものであった。
その「暗闇をぶっとばせ」を含む嶋のセカンドアルバム「大輔命II」(1982)が、たまたまヤフオクに安価で出品されていて、同じ出品者から他のレコードもまとめ買いするつもりで送料も節約できたので、つい落としてしまった^^; さすがに1枚聴き通すのは辛い気もしないでもなかったが、T・C・R・横浜銀蝿 R・Sのアルバムよりはよかったように感じたのは前記のような思い入れからか。むろん収録曲は横浜銀蝿のメンバーの手がけたものが中心だが、一部の曲を好みのタイプのアレンジャーである若草恵が担当していたり、結成から日の浅い頃のNOBODYも2曲メロディのみだが提供をしているなど、こんにち親近感をおぼえる顔ぶれが参加しているためもあるのかもしれない。
冒頭が前記シングル曲「暗闇をぶっとばせ」で、これは作詞作曲アレンジとも横浜銀蝿メンバーになるものだが、思い入れのためもあるのか聴いていて心躍るものだ。なお、売上枚数上この曲は嶋にとってのトップこそ「男の勲章」に譲っているが、当時オリコンチャートで1位を獲得したのはこの曲の方だそうである。続く「Love letter」もNOBODY作曲で気持ちよく聴けるが、さすがに3曲同じような調子で続くと単調だなと思えてしまう^^; 4曲目「全開バリバリRock'n Roll」・5曲目「サヨナラMy Town」と若草編曲のものが続くが、特に後者がブラスセクションやコーラスなどの聴きどころもあり、冗長さから救われている。
LPでいうB面の冒頭2曲も若草編曲だが、2曲目「友だちブギ」の方が桐村杏子詞・岩久茂曲となっており、唯一横浜銀蝿メンバーが関わっていない曲となっている。桐村とは推理作家などとして知られる青柳友子が初期に使っていた別名で、 岩久は青い三角定規のメンバーという異色な組み合わせだが、唯一詞に英文フレーズの出てこないところなどが目を惹く。やはり中盤は一本調子な感は否めないが^^;、4曲目「I Love横浜」は現在横浜在住でしばしば足を運ぶ界隈がフレーズに出てくると何となく愛着が湧くものだ。最後の「少し自由をください」は詞曲アレンジいずれも横浜銀蝿メンバーによるものだがフォークソングっぽい曲調で、中間部がナレーションになっているなど風変わりな構成だ。嵐ヨシユキの詞はいかにも思春期の若者らしい内容だが、しみじみとノスタルジックな気分にさせてくれる。とりあえず最初と最後の2曲だけでも聴けてよかったと感じたものだ^^;