「STRIPPER」(1981)、「A WONDERFUL TIME」「MIS CAST」(ともに1982)と、EXOTICSとのコラボレーションを前面に押し出した感のあるアルバムが続いたあとで、1983年に沢田研二の発表した2枚のアルバムは番外編というか毛色の変わったものが重なった。目先を変えたようにもみえるし、迷走しているようにも受け取れる^^; その後の渡辺プロダクションからの独立を知っているからか。

 

とはいえ、先に出たアルバム「JULIE SONG CALENDAR」は沢田のラジオ番組内の企画で作られた曲をまとめたというものだし、アレンジを務めているのはEXOTICSのメンバーであり販売がカセットテープのみでレコードでは制作されていないなど、成立の経緯に納得のいく要素が多い(もっとも、レコードが制作されなかったというのは、単に曲数が多くてLPだと2枚組にせざるを得なかったからという可能性もありそうな^^;)。

 

1982年4月から翌年3月にかけて、TBSラジオ「NISSANミッドナイトステーション 沢田研二 夜は気ままに」において「今月の歌」が作られ、月替わりで作詞専業ではない人を含む女性が詞を手がけて沢田本人が作曲するという形式になっている。都合全12曲にPLUS ONEとして沢田本人が作詞もしたクリスマスソングが加えられて13曲という、まさにサービス精神満点という印象である。曲順は発表順とは異なり、アルバムとしての構成を意識しているようだ。

 

1曲目「裏切り者と朝食を」は漫画家の里中満智子作詞。ちょっとメカニカルだが意味深に感じられるイントロがスタートにふさわしい印象。ちょっとエキゾチックな雰囲気の曲だ。それを承けるかのようなタイトルの2曲目「ボンヴォワヤージュ」は湯川れい子作詞。冒頭に旅の雑踏を思わせるような効果音が入っている。前曲とは対照的にカラッとした味わいである。3曲目「目抜き通りの6月」は竹内まりや作詞。なお、この時期の竹内は歌手としては一時休業して詞や曲を他者に提供していた頃にあたるようだ。サビにスペイン語の呼びかけが出てきたり、これが竹内の詞かと思うと意外な感がある。

 

4曲目「ウイークエンド・サンバ」は作家の落合恵子作詞。その後ピチカート・ファイヴのボーカルなども務める野宮真貴とのデュエットになっている。タイトルを意識してか、ちょっとラテン的な雰囲気のあるアレンジだ。5曲目「Sweet Surrender」は原由子作詞。これも前出の竹内と同じく、原の詞としては意外なくらい沢田カラーを意識した出来だと思う。6曲目「CHI SEI(君は誰)」の作詞者アレッサンドラ・ムッソリーニはその後政治家として知られるようになったが、この頃はソフィア・ローレンの姪ということもあって女優や歌手として活動しており、日本限定で日本語歌唱を含むポップスのアルバムも発表していたそうである。もっとも、この曲の詞はイタリア語で書かれている。前半のクライマックスを意識してか、なかなかゴージャスなサウンドだ。

 

7曲目「YOU'RE THE ONLY GIRL」はアン・ルイス作詞。カセットテープだとここで裏面なのか、前曲とは一転して軽快なタッチのゴキゲンな曲である。8曲目「ラスト スパーク」は女優・作家の青島美幸作詞。前曲を承けて軽めの印象を受ける。9曲目「一人ぼっちパーティー」は研ナオコ作詞。しかし、この曲も研のイメージを意識すると肩透かしを喰らう。研ではなく研二らしいきらびやかな雰囲気の曲だ^^; 

 

10曲目「SCANDAL!!」は微美杏里(=藤真利子)作詞。お洒落なイントロに少しばかり藤本人のアルバムのフレンチポップスばりの味わいを感じるが、こちらの先入観か^^; なお、自分は未聴だが、ほぼ同時期の藤のアルバム「狂躁曲」(1982)には沢田が曲を提供している。藤も女優として有名だが、このあと11曲目「す・て・きにかん違い」は多岐川裕美、12曲目「Free Free Night」は名取裕子と女優の提供した詞が続く。後半は概ね軽快な印象の曲が多い感があるが、最後の詞曲とも沢田自作になるクリスマスソング「BURNING SEXY SILENT NIGHT」は陰りを帯びたロマンティックさで締めくくりにはふさわしい。