「BE QUIET」(1987)は、HOUND DOGが当時の所属事務所マザーエンタープライズの設立したレーベル「MOTHER & CHILDREN」に移籍してから発表された最初のアルバムとなった。MOTHER & CHILDRENの設立経緯をみると、それまでのCBS・ソニーの運営方針に対する不満から大友康平が取締役を務めていたマザーエンタープライズを動かした結果ということのようだ。移籍後2枚目となるアルバム「GOLD」(1988)がHOUND DOG初のオリコンチャート1位を記録し、以後アルバムのセールスについては数年好調を維持しておりシングルもまた同じような動きを見せているので、とりあえずセールス面に関してはこの移籍は成功だったといえる。
しかし、前作「LOVE」(1986)と比べて、詞の大友、松尾由紀夫、松井五郎、曲の箕輪単志(アレンジを含む)、八島順一という顔ぶれが固定していて安定感がある反面、新鮮さに欠けるような気がするので、聴いていて地味に感じてしまう^^; と言っても、やはり八島作曲のバラードっぽい曲を中心に、滋味あふれるところがあるのが捨てがたい。なお、たまたまなのかもしれないが、作詞において大友の手がけた曲が、このアルバムにおいては過半数を超えていて、リーダーシップをみせてやろうという意識が見え隠れするようになってきているととらえるのは穿った見方か^^;
概ねノリのいい曲が箕輪作曲、しみじみとした曲が八島作曲という役割分担が感じられるのはこれまでどおりのパターンと同じで、箕輪作曲の「HOW MANY NIGHT」から軽快にスタートをかける。続く「ROLLING」はこれを承けて、アグレッシブさを高めている印象。しかし、やはり個人的には八島作曲の3曲目「SEPTEMBER RAIN」のしみじみとした情感がぴったりとくる。さしずめ冒頭の2曲はプロローグか^^; 4曲目「STAY」で一旦アグレッシブな曲調に戻るが、次の「TOKYO」がまた哀感漂うしっとりとした重々しさで聴かせてくれる。もちろん八島作曲である^^;
LPでいうB面冒頭はガラッと雰囲気を変えて、軽快で大友の私小説(?)かと思わせるような詞の「無理を承知で…」が置かれている。次に来るのが先行シングル曲だった「SCRAP DREAM」。この曲はオリコンチャートにおいては「ff(フォルティシモ)」を上廻り、HOUND DOGとしては初のトップ10位圏内を果たしている。これはしみじみとした曲調ながら箕輪作曲だが、八島の曲で感じられる哀感に欠けるからか「SEPTEMBER RAIN」や次の「DON'T CRY」に比べると物足りない気がする^^; その「DON'T CRY」は前作「LOVE」における「AGAIN」と同じような位置づけに感じられるバラードで、この「AGAIN」との比較になってしまうので分が悪いが、このアルバム中でのクライマックスを築く佳作だと思う。
続く「BLACKBOARD JUNGLE」も八島作曲だが、軽快な曲。これは単に自分の好みの問題なのかもしれないが、違和感が残る。いかにも思春期の少年の感じそうな反発心を描いた歌詞なので、オッサンにはそぐわないと思ってしまうからか^^; 締めくくりの「ROAD」(そういえば、曲調は違うが「LOVE」の最後の曲も「ROAD RUNNER」といったな^^;)は「SCRAP DREAM」に同じく、箕輪作曲ながらしみじみとした曲だが、ここは明るめのエンディングになっているという印象で「SCRAP DREAM」に比して配置の妙が感じられる。