作者・主人公ともに男性で、料理あるいは料理人を題材にした5作品。
それぞれ、新選組、醍醐の花見、豆腐百珍、文禄の役、博打をテーマにしています。

 

個人的に特に惹かれたのは、

・火坂さんの作品に登場する、醍醐の花見で料理を振る舞い、秀吉や女性たちをワクワクさせた風間三十郎の料理

・谷津さんの『豆腐百珍』 の二つです。

 

斎藤千輪さんの『神楽坂つきみ茶屋』でも『豆腐百珍』に載っているいくつかの料理が登場していたので、「ああ、これがあの豆腐百珍を描いた人の物語なんだ」と思い、思わず興奮してしまいました。

なにより印象的だったのは、豆腐についての「安いうえに滋養はたっぷり、窮乏する家にあっては、救いのような食材」という一文。『豆腐百珍』は、豆腐の100通りの食べ方を記録したレシピ本なのです。江戸時代に爆発的にヒットしたというのも納得です。

 

料理を題材にした物語は、読んでいるだけでお腹も心も満たされます。歴史の中で生まれた一皿一皿に思いを馳せながら、また新しい作品を探してみたくなりました。