イラストレーターの真野原蓮。

「なんでもいい、一歩踏み出したい」 ――そんな思いで居酒屋のんのの暖簾をくぐったことから、彼女の日々は少しずつ変わり始めます。励まされ、勇気づけられ、ほめられ、アドバイスも受けながら、蓮は成長していきます。「私なんて」と思いがちな彼女が、知らず知らずのうちに周囲へ影響を与える存在になっていく姿が印象的です。

 

登場人物も魅力的です。

・嶺さんこと羽津高嶺

・春芳・・・居酒屋のんのの店主。嶺さんの同級生。

・赤橋悟・・ハンドメイドの雑貨店店主

・江口幸助・・・カフェ「月のうさぎ」を開店

 

嶺さんの言葉はどれも素敵で心に残ります。

「全力を出し切った先に、必ず新しい扉がある。漣ちゃんなら大丈夫」

「怪我をしたら誰だって痛い。・・・心が怪我したって同じじゃないかな。血を流している心に、手当もせずに頑張れと言うのは間違いだよ」

「怪我は必ず治る。・・治るのが楽しみだね。きっと、それまでとは違う新しい自分に出会えるよ」

 

こんな素敵な嶺さんも、実はつらい経験を抱えているようで……。
蓮と嶺さん、二人の出会いに思わず「乾杯」と言いたくなる物語です。

 

この物語は、そっと背中を押してくれるような優しさに満ちています。

読み終えたあと、私もまた一歩踏み出したくなりました。