戦艦大和。

人を殺すためのものではなく、こんなにも凄い軍艦を有しているのだから戦争の抑止力になる、と思い込もうとする優秀な技術者たちの苦悩と努力によって建造された。

 

納期、予算、原材料調達、機密保持…。時には軍幹部の意見(命令?)に従わざるを得ず、それでも完成に至るのは、本当に至難の業。

 

過去の日清・日露戦争の成功体験を引きずったままの軍艦至上主義によって大和や武蔵は建造されるが、アメリカなどは戦闘機の製造に力を入れていた。「新型戦艦二隻の建造資金を航空機に振り向ければ、約4000機の最新鋭航空機が造れた」と山本五十六。

 

当時の日本は効率とかじゃなく、精神論が第一。その中に脱落していく者もいたんだ、ってことがわかる。技術者たちだって人間だ。悩みもするし、恋もする。弱い所をつけこまれて悪事に手を染める者も。あるいは戦艦建造に反対する勢力もいる。

 

そんな様々なことがギュッと凝縮された一冊でした。

さすが伊東潤さんです。