2人の帝がいた南北朝時代。
父・楠木正成の子として戦うことが当然と思われていた一方で、父の「好きに生きればよい」を胸に戦のない世の中をつくりたいと願う楠木多聞丸(正行)。
先帝の意志を継ぐ者と誰もが信じて疑わない、南朝の帝に担がれた後村上天皇。
後醍醐天皇の後胤と噂された弁内侍こと茅乃。
皆、父の遺功に影響され、時代に翻弄されながら懸命に生きていきます。
「南朝のために戦うつもりはない。戦が終わるならば北朝に降るのも吝かではない。」
「茅乃と出逢い、坊門親忠と語らい、後村上帝の想いを知ったことで、和議による両朝統一を模索したい」
南朝を仕切る北畠親房の玉砕 vs 戦で民を困らせたくない多聞丸の和議。
多聞丸は北朝も一枚岩でないことから、和議の条件をよくするためにどうするかを考えます。多聞丸の戦は「蕾陣→花陣、波陣→濤陣、杜陣→叢陣」と父の弱点を補う戦法です。戦の場面では臨場感があふれていて、興奮させられました。
多聞丸に光を当てたこの作品、諸葛孔明と司馬懿の頭脳戦、チンギスカンの騎馬隊、後の大坂夏の陣の真田幸村などを思い出しながら読ませていただきました。今村翔吾さんの作品って本当に面白いって、改めて思いました!
