「家に来て料理を作ってくれっ」と出張料理を頼まれる元商家の娘、佐菜の成長物語(かな?)。
正直な一方で内気で人見知りな佐菜は煮売り屋で働く。女将の’おかね‘から「白和えって、これからつくっておくれよ」と作ったところ、やわらかく繊細な味がお客さんの評判に。すると能の先生のお屋敷から「朝餉に白和えを作って欲しい」と依頼が。その後、他のお客さんから、明石の蛸飯、赤ちゃんのお食い初め、鮎の味噌焼きなどの依頼がやってきます。
佐菜は同居するおばあさんや、煮売り屋のおかねや常連さんと相談しながら、工夫を凝らした献立を考えます。このおばあさんが博識で一本筋が通っているようで格好いいんです。またお客さん宅へ足を運びお客さんの意向をつかむ佐菜もなかなかです。
ところで鯛は特別な魚ですが、それは「鯛の中に鯛を持っているから」なんだそうです。まあ鯛の形をした骨があるってことなんですが。「そぼろになっても、汁になっても鯛の風格を失わないのは、鯛が鯛であるからです。人の一生には、様々なことがあるでしょう。大切なことは逆境にあっても、自分の中の鯛を見失わないこと。」 佐菜もおばあさんも鯛中鯛です。
引っ込み思案の佐菜が人に喜ばれることで自信をつけていくこの成長物語、2巻目が積んでありましたので、まず1巻目を読んでみました。坂井希久子さんの居酒屋ぜんや、滝川秋美さんのきよのお江戸料理日記のようにほんわかしていて、ファンになってしまいました。
