「夜中に食べちゃいけないのはわかってるけど、でも食べたいんだよね」という背徳かつご褒美的な夜の食をテーマとした短編集。6人の作家の作品で構成されています。
・苦い思い出のスクランブルエッグが今ではすっかり上手になった40代の陽茉莉。
・疲れた心と身体を癒してくれる“うしみつ屋”。
ちょっと頑張れるかもと前向きになる一宮すず音。
・夜中に背脂たっぷりのラーメンで背徳感・罪悪感を分け合う田中誠と佐々島昇一。
・訳アリのペンションの言葉に翻弄されるも、真意を知り心が弾む二宮明美。
・高校時代の同級生との夜食会をこっそり覘くフキコ。
・インスタントラーメンを食べたい料理研究家の赤沢秀美。
どの作品も奥深いんです。特に、八木沢さんのペンション・ワケアッテの夜食には「そうくるかぁ」と騙されながら、心地よい気持ちになりました。また近藤さんの作品もこっそり隠れてでも、食べたいお餅と餃子と卵を入れたインスタントラーメンへの執念もわかるわかると共感できました。
眠れぬ夜のご褒美のタイトルから、読者である私が眠れない夜に読む本なのかなと、恥ずかしい勘違いをしていました。この本を夜に読んだら、何か食べたいっと、とますます眠れなくなってしまいました。