不安を抱えた人たちが、ホッと一息つける隠れ家(ハイダウェイ)。

完全な人間なんてこの世にいない。

「だって、俺たち、惑いの星で生きてるんだもの」、地球という惑星で。

 

悩みは人によって様々。

完璧そうに見える人にも悩みが。真面目過ぎて不器用な人にも悩みが。

誰もかかわってほしくないと思っていても、心の奥では、「誰かに共感してもらいたい。認めてもらいたい」と思っています。

 

6つの短編集となっていますが、登場人物はそれぞれ関りがあります。読み進めると、登場人物の潜在意識が顕在化するようで、ものすごい解決策ではないんですけど、ホッとするような心地よい感覚になり、私自身も「負けるな」と応援したくなりました。面白い一冊です。

 

主な登場人物

・矢作桐人・・・外面はいいが身内に厳しい父を疎ましく思っていましたが、自身も馬鹿正直、効率が悪い、真面目と父のようになっていたことを、そして父に認められたかったんだ、と気づきます。

・米川恵理子・・母でありマネージャーであるも、皆、自分に都合の良いことばかり押し付けてくる。自分の役割をサボってみると、紆余曲折の航路に耐えた箱舟が。自身に、また弱っている人へ「負けるな」とつぶやきます。

・大森圭太・・・高校に入ってイジメにあい、でも逃げ場がない。ボクシングを通じて、逃げ場が必要なのは「自分だけではなかったのかもしれない」 「もう逃げない」と懸命に歩き続けます。

・植田久乃・・・恋愛に興味がない、まわりはいろいろ言うけれど。母が認めてくれていたことがわかり、これまで肯定できなかった自分自身のことも、愛せるようになります。

・瀬名光彦・・・考えない・動かない・抗わない。いつも人の言いなり。自分を大事にしてないと指摘され、「変わりたい」と自分の気持ちを優先したいと思うようになります。

・神林璃子・・・酷いことや理不尽なことが起きると、納得できなくて、それを無理やり自分とむすびつけてしまうんじゃないのかな。と言われ、子供みたいに泣きじゃくります。弱くて駄目な自分を認められたような気がして。