鬼〇〇と恐れられる七人の戦国武将の短編集。
真壁久幹、佐竹義重、森長可、水野勝成、長宗我部元親、柴田勝家、佐久間盛政が登場します。
北条と上杉謙信の二大勢力に挟まれる常陸の国人領主の真壁久幹。塚原卜伝の弟子で剣術の達人です。かつ娘のつくばの軍略により北条勢を勢子による鹿狩りのように翻弄します。敵の背面に回り込み、敵を前面と背面で囲む策がうまく決まると、これは気持ちいいですね。真壁久幹のことを知らなかったので、興味をもって読むことができました。魅力的な武将ですね。
また水野勝成は、この作品では、刈谷からの出奔から家康の仲裁による帰参までが描かれており、やんちゃな頃の勝成の魅力が描かれています。個人的には福山藩主、大坂の陣、島原の乱での勝成の活躍も好きなので、「そこで終わりかぁ～」って感じがしてしまいました。やんちゃの頃の方が描きやすいんでしょうね、きっと。
森長可も元親も、勝家・盛政の賤ケ岳の戦いも、最後は敗れてしまうことをわかって読みましたが、やっぱり意気消沈しますね。鬼退治といいますが、鬼は退治されてしまうんでしょうかね・・・。戦国ものをあまり読んだことのない人には、お勧めしないかなぁ。でも面白かったです。