戦後の映画産業で、照明部の一員として映画製作に携わった五堂顕(ゴンちゃん)のお仕事小説。んっ?人生といったほうがいいかもしれません。

 

撮影所長、監督から助監督、照明部、撮影部、録音部、俳優部、脚本部・・・数多くの裏方さんによって映画が製作されています。各部は徒弟制度のようで、今ならパワハラになるんだろうなぁと思いつつ、それでも活気があるなぁと読み進めました。

 

照明で俳優の傷やしわを消すんです。それはレフ版使ったり、ビニールで周りを覆ったり、まさに職人技。その技術によって俳優から感謝されたり。また電気のない山の中の撮影では、事前に電力会社に電源の確保をお願いしたり、大忙しです。

 

作品には、監督や脚本家など個性的な人たちの生き様が描かれています。信念を貫くといえば聞こえはいいのですが、我が強いだけだったり。それでも実力のある人は収まるところに収まるんですね。

 

婚活食堂や食堂のおばちゃんシリーズの山口恵以子さんの作品だったので手に取りました。映画からテレビに時代が移り、それでも昭和の映画の照明技術が役に立つんです。ゴンちゃんらの仕事に対する真摯な思いを感じることが出来ました。