古代中国の晋で最高の宰相と絶賛された「士会」の、兵法に優れ、義・礼・徳を体現する生涯を描いた作品。晋に戻った重耳(文公)の時代から始まり、宮城谷氏の作品「重耳」と重なる個所を掘り下げての描写から始まります(なので重耳を読んでいると分かりやすいです)。

 

晋の正卿趙盾の隣国の秦に対する礼の欠いた心変わりに、士会は秦への亡命することで無言の批判をします。秦では康公に気に入られ軍事顧問となり、晋を脅かしますが、人の命を奪わぬよう策略を講じます。その後、晋に連れ戻され、士会の能力を少しずつ発揮していきます。それもその場しのぎではなく2手先、3手先まで読むのは当たり前なので、凡人には「?」と思えてしまうところが凄いです。

 

「個々の兵は弱くても、まとまりかたを変えれば強さを発揮できるようになるのではないか。集団の武術というのを考えてみる必要がある」

「政治とは、喜びを産む作業でなければならない」

「人は生まれたとき。公平さにいない。身分の上下があり、貧富の差がある。しかし生き方によって、その不公平をしのぐことができる」

 

素晴らしい人物の物語を読むと心が豊かになるような気がします。

こちらも読み返しですが、いや~ぁ、忘れていますね、物語の内容は。とても新鮮に再読しました。