古代中国の春秋五覇の一人、晋の文公(重耳)の小説。

 

継母に命を狙われ19年間もの流浪を経て晋へ帰国し、君主となります。流浪のなかで重耳は成長し、また臣下たちもそれぞれが一国の宰相となり得るほどに成長します。

 

物語は重耳の祖父の称(武公)、父の詭諸(献公)の代から始まり、重耳の人柄がどのように形成されていったのかがわかります。称と重耳、重耳の兄の申生は賢いですが、父の詭諸はダメダメですね。そのおかげで申生は死に、重耳は流浪することに、さらに晋はぼろぼろになっていきます。

 

「人はなにかをしてもらいたいと思えば、こちらからなにかをしてあげる。人に愛されたいのなら、こちらから愛する。人を従わせたいのなら、まず、人にしたがってみる。人に徳をほどこさないで、人を用いようとするのは、罪悪です。・・・」 今も昔も変わらないですね。ただ、なかなか難しいですが...。

 

2024年は正月明けから宮城谷さんの作品を読み返しています。以前読んだ時よりも、地名や人名に慣れてきて読みやすく、かつ宮城谷ワールドの教訓めいたセリフも身体に入ってくるようで、とても新鮮な感じがします。二度目の「重耳」でしたが、やっぱり面白かったです!