今川義元の母は寿桂尼ではなく源応尼である。
於富(源応尼)は今川氏親の側女で、今川義元の母である。それを寿桂尼が快く思わず、知多の水野忠政の継室とし、次いで松平清康、川口家、星野家、菅沼家と政略結婚を繰り返した、と描かれて話は展開します。すると家康は、今川氏真と同じ祖母をもち、それを知らずに人質時代を過ごしたことになります。
桶狭間以降は、於大をはじめ、於葉・お須和が家康の心の支えとなり、家康の弱い心を鼓舞します。
かなり入り組んだ出自で分かりにくいのですが、ここまで丁寧に描かれている作品はなかなかなかったなぁと思います。少しくどいところはありますが、調査・発想そして言葉に置き換えることは難しかったのではと思われるほどの作品です。家康を陰で支えた女性たちの献身的な愛情は、家康の偉大さを表しているのでしょう。読み応え、ありました。
誰が誰だかわかりにくいので、ちょっとまとめてみました。
於富・・・源応尼。家康の実祖母。
於大・・・於富の実娘。父は水野忠政。家康の母。
於久・・・於富の実娘。父は松平清康。家康の叔母。酒井忠次の正室。
於満・・・於富の実娘。父は今川氏親。
田鶴・・・於満の実娘。源応尼の孫。父は鵜殿長持。夫は曳馬城主の飯尾連達。
於葉・・・久松長家の正室となった於大の侍女。
お須和・・阿茶局。