板書ができず医者に「頭がたりないんのや」と診断され学校を辞めた女の子。試しに眼鏡をかけると世界が変わり学校へ再度入学します。

 

眼鏡が当たり前ではない明治時代の福井県の寒村で、村に産業をと、増永五左衛門・幸八兄弟が眼鏡づくりを始めます。職人集め、指導者の雇い入れ、借金、指導者の質により別の指導者の雇い入れ、問屋からの駄目だし、と苦労の連続です。

 

「人間は生まれも育ちも何もかも平等ではありません。ほやけど努力し続けてるもんには好機がいつか必ずやってくると思うんや」

「人間には二種類おるんやと気づいたんや。あきらめるやつと、あきらめんやつ」

「技量が不揃いなもんが力を合わすから、大きな仕事をやっていくための心が育つんやで」

 

文庫本で読みましたが、もともと2016年の刊行だったんですね。しかも2023年11月には映画が封切られるようです。寡黙な兄と、行動力のある弟、兄嫁のむめ、プラス淡い恋心。面白い一冊でした。