番組制作会社の浅生霧歌(あそうきりか)35歳。元人気俳優でスキャンダルで干された文山遼生を起用した深夜の料理番組に携わります。文山は真面目で隙がなく、固い雰囲気で作り笑顔しか見せません。よい番組を作りたい浅生は、文山の「よかった探し」をスタッフに提案します。

 

浅生のポジティブ思考にスタッフが応え、試行錯誤を経て、文山とスタッフの関係が徐々に良くなっていきます。すると文山の笑顔が自然な笑顔となり、視聴率も少しずつ良くなります。それを目の当たりにしたスタッフも俄然やる気が出てきて成長が感じられます。

 

料理の場面も、ささやくような説明でその映像が目に浮かびます。細かいところに注意を払ってくれるのでとても分かりやすく、とても役に立ちます。

 

表紙の絵を見て料理小説と思って読み始めましたが、お仕事小説の方が色濃く思います。優しい浅生が声を荒げる場面もあります。本音でぶつかっていっているから読み応えがあるんですね。料理小説でもお仕事小説でも、まあどちらも楽しめるのでお得な一冊です。面白かったです。