第5弾です。
糖花のケーキと語部さんのストーリーテラーぶりは、さまざまな悩みや問題を抱えたお客さんの心を前向きにし、ほんの少し幸せにしてくれます。まるで魔法のようです。
ただ、プライベートでは語部さんと糖花の関係は相変わらず中学生レベル。その一方で、爽馬の家族に招かれた高校生の麦は大奮闘します。
登場するお客さんたちも個性豊かです。
・人に任せられず、何でも一人で抱え込んでしまう不動産会社の管理職・砂羽
・競馬優先の彼氏に腹を立てる瑞歩
・ 「チョコレートケーキが一番」とそれしか買わない、頑固で一途な田中弘之
後半では、「月と私」の隣に建つ4階建てマンションのオーナー・福森さとこが登場します。砂羽の部下であり、さとこの孫でもある千恵理がマンションの取り壊しを宣言。そこへ、80歳の綾辻さんの恋人である70歳の充さんが味わい深い存在感を放ちます。語部さんが語りに語る展開は、興奮しつつも心が温かくなる時間でした。
物語の温度はずっと一定ではなく、甘さとほろ苦さが交互に訪れます。それでも最後に残るのは、人の弱さも強さも丸ごと受け止めるような、やわらかなあたたかさでした。語部さんの語りと糖花のケーキが、誰かの人生の小さな背中をそっと押していく――そんなシリーズの魅力が、今回も心地よく沁みました。
