∂氷壁 (新潮文庫) (日本語) 文庫 

井上 靖  (著)

 

 

                                           

                                                                                                                           

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∂氷壁 (新潮文庫) (日本語) 文庫 

 

井上 靖  (著)


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∂1957年に出版された長編小説。本文は609ページと長い印象だが、一つ一つの場面が短いので飽きずに数日で楽に読み終えることができる。1955年に起きたナイロンザイル切断事件が題材で、こちらは現在解決済みであるが事件の詳細を知ると小説の興味が失われるので実際の事件の顛末は読後に確かめることを薦める。また、舞台は穂高岳であり、山の写真などあると情景描写に共感が得られる利点はある。しかし山の紹介文には本小説の結末が書かれてあったりするので注意が必要。

登山家の魚津恭太が主人公で一緒に山に登った小坂乙彦のザイルが切れた原因と、小坂が片思いの人妻八代美那子に魚津も魅かれていくという二つのテーマがある。美那子の年長の夫、教之助は科学者で社長。ふたりが何故結婚するに至ったかは不明で、美奈子は夫に入れるコーヒーカップを凝ってみたり、お茶の入れ方を工夫したり、料理を気にかけたりと繊細なところをみせるのだが夫の仕事の理解はない。夫の美奈子に対する態度は女中か家政婦に近く、時に嫉妬をみせるものの、基本的には妻と離れたほうが落ち着くタイプ。解説にあるように美奈子は「都会の人工性につながれた存在p630」で、この夫婦が何故離婚せずにいるのか、特に魚津に魅かれる美奈子については疑問であるが、社長夫人という平安な「人生をおりた人=遁世p624」のような生活は、実際は人生と闘う必要がないので理想的。ただ、これが魚津や小坂の命と秤にかけてでも守る生活なのかという点には美奈子の関心はない。

魚津は、登山家としての小坂を信頼し、自分の信ずるところ(時に「神」という表現を用いる)を人が信じてくれずに苦悩する。そんな中で、小坂の妹、かおるだけは無条件に魚津を信じて愛するのだが、それに救われつつも、魚津の心は美奈子にある。魚津は自然を愛し自分の信じるところ、信じる道のために死を賭してまでに「反抗p624」していくところは魅力的であるが、小坂かおるを愛することが将来できるであろう想定のもとに結婚を考えるのは短絡的で、八代らと同様の愛のない結婚に至る可能性などは一顧にしない。人に惚れることは理屈ではいかないので、うまく事が運ばないということもあるが、本小説の恋愛感情は、外見に由来するものが殆どで、相手を人物としてその中身から愛しているのは、かおるのみ。

本小説のように死が描かれるときに、自分の命を、一生を犠牲にしてまで守るに値するものは何かを、考えさせられる。本小説では、かおるの真実の愛と、魚津の自分の信じるもの(本当の自分自身=「神」)を貫く姿勢が、それに値する。

 

∂内容(「BOOK」データベースより)

奥穂高の難所に挑んだ小坂乙彦は、切れる筈のないザイルが切れて墜死する。小坂と同行し、遭難の真因をつきとめようとする魚津恭太は、自殺説も含め数々の臆測と戦いながら、小坂の恋人であった美貌の人妻八代美那子への思慕を胸に、死の単独行を開始する…。完璧な構成のもとに雄大な自然と都会の雑踏を照応させつつ、恋愛と男同士の友情をドラマチックに展開させた長編小説。

∂著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

井上/靖
1907‐1991。旭川市生れ。京都大学文学部哲学科卒業後、毎日新聞社に入社。戦後になって多くの小説を手掛け、1949(昭和24)年「闘牛」で芥川賞を受賞。’51年に退社して以降は、次々と名作を産み出す。「天平の甍」での芸術選奨(’57年)、「おろしや国酔夢譚」での日本文学大賞(’69年)、「孔子」での野間文芸賞(’89年)など受賞作多数。’76年文化勲章を受章した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)。

 

 

 

   

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∂映画 氷壁

『氷壁』(ひょうへき)は、井上靖の長編小説。1956年2月24日から1957年8月22日まで「朝日新聞」に連載され、1957年に新潮社から単行本が刊行された。

切れるはずのないナイロンザイルが切れたために登山中に死亡した友人の死を、同行していた主人公が追う。1955年に実際に起きたナイロンザイル切断事件若山五朗北鎌尾根で遭難死した松濤明芳田美枝子奥山章夫人)ら複数のモデルがいる。友情と恋愛の確執を、「山」という自然と都会とを照らし合わせて描いている。

 

∂あらすじ

 

新鋭登山家の魚津恭太は、昭和30年の年末から翌年正月にかけて、親友の小坂乙彦と共に前穂高東壁の冬季初登頂の計画を立てる。その山行の直前、魚津は小坂の思いがけない秘密を知る。小坂は、人妻の八代美那子とふとしたきっかけから一夜を過ごし、その後も横恋慕を続けて、美那子を困惑させている。

不安定な心理状態の小坂に一抹の不安を抱きつつも、魚津達は穂高の氷壁にとりつく。吹雪に見舞われる厳しい登攀のなか、頂上の直前で小坂が滑落。深い谷底へ消えていった。二人を結んでいたナイロンザイルが切れたのだ。必死に捜索するも小坂は見つからず、捜索は雪解け後に持ち越されることになった。

失意のうちに帰京する魚津。そんな思いとは裏腹に、世間では「ナイロンザイルは果たして切れたか」と波紋を呼んでいた。切れるはずのないザイル。魚津はその渦に巻き込まれていく。ナイロンザイルの製造元は、魚津の勤務する会社と資金関係があり、さらにその原糸を供給した会社の専務は、小坂が思いを寄せていた美那子の夫・八代教之助だった。

作品の途中で、小坂が愛したデュプラの詩が引用されており、本作品のテーマを漂わせている。 尚、この訳文は深田久弥が訳したものである。


   もしかある日、

   もしかある日、私が山で死んだら、

   古い山友達のお前にだ、

   この書置を残すのは。

   おふくろに会いに行ってくれ。

   そして言ってくれ、おれはしあわせに死んだと。

   おれは母さんのそばにいたから、ちっとも苦しみはしなかったと。

   親父に言ってくれ、おれは男だったと。

   弟に言ってくれ、さあお前にバトンを渡すぞと。

   女房に言ってくれ、おれがいなくても生きるようにと。

   お前がいなくてもおれが生きたようにと。

   息子たちへの伝言は、お前たちは「エタンソン」の岩場で、

   おれの爪の跡を見つけるだろうと。

   そしておれの友、お前にはこうだ―

   おれのピッケルを取り上げてくれ。

   ピッケルが恥辱で死ぬようなことをおれは望まぬ。

   どこか美しいフェースへ持って行ってくれ。

   そしてピッケルのためだけの小さいケルンを作って、

   その上に差しこんでくれ


そして最後では、小坂の妹かおるが、デュプラの詩を実現すべく、穂高に登りケルンを作って、小坂、魚津両名のピッケルを差し込む決心をする部分で終了している。

 

 

 

  

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∂氷壁
監督 増村保造
脚本 新藤兼人
製作 永田雅一
出演者 菅原謙二
山本富士子
野添ひとみ
川崎敬三
山茶花究
上原謙
浦辺粂子
音楽 伊福部昭
撮影 村井博
製作会社 大映
配給 大映
公開 日本の旗 1958年3月18日
上映時間 96分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語

 

 

 

 

 

 

 

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