自己模倣 | 800文字

自己模倣

 Primal Screamの新作「Beautiful Future」を聴いた。「Screamadelica」以降の作品を全て手放しで評価してきた僕だが、本作はイマイチというのが現時点での感想。「Screamadelica」でのロックとアシッド・ハウスの融合(今でも一大エポックメイキングだと思っている)、「Give out but don’t give up」での一転してブルースへの接近、さらに「Vanishing point」でのテクノ的要素の導入。このように時代の半歩先を常に歩んできたPrimal Screamの進取の気性といったものが、本作からまるで感じられない。過去の遺産を食い潰した、自己模倣のにおいがプンプンする。僕が歳を取ったのか、Primal Screamが歳を取ったのか、その両方なのか、正直複雑な気分になっている。
 一方、インディ・ジョーンズシリーズの最新作「クリスタル・スカルの王国」はスティーヴン・スピルバーグ及びジョージ・ルーカス、さらにはハリソン・フォードの自己模倣の極みのような作品だが、僕は本作を高く評価している。全編エンターテイメントに徹しているところがすばらしい。最近のアクションものは、スパイダーマンやバットマンなど主人公の内面の葛藤やトラウマを描いたものが多いが(それはそれで、物語の深みを与える要素として重要だとは思うが)、「物語の深みなど不要」といわんばかりに浅い人間像でコミカルに「楽しければそれでいい」と割り切って描ききった凄みを本作からは感じる。
 Primal Screamの新作と同様「クリスタル・スカルの王国も」自己模倣なのだが、なぜ こうも印象が違うのだろうか?思うに、作り手側が自己模倣と認識しているか否かが、僕の印象の違いになっているような気がする。スピルバーク監督は、観客の求めるインディ・ジョーンズ像を忠実に認識し、それに徹底的に応えることに注力して本作を完成させている。それが単なる自己模倣を超えた志の高さとして僕に伝わってきたのだと思う。


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