泣きたいとき | 800文字

泣きたいとき

落ち込んだときにはアッパー目の音楽を聴いたり、能天気なコメディ映画を見たりしてテンションを上げるのもいいが、時には泣いてすっきりした方がいいときもある。
 こんなときにはキャロル・キングの「Tapestry」を聴くのがお勧め。特に、深夜にお酒でも飲みながらヘッドホンで聴くとかなりしみてくる。僕の場合は、2曲目の「So Far Away」を延々とリピート再生する。すると、「遠いところまで来たなあ」とかわけのわからない感慨に浸れて次の日にはすっきりできる。
 学生時代はTHE THEの「Dusk」を聴いて落ち込むことが多かった。他のアルバムはそうでもないのだが、このアルバムのマット・ジョンソンの声は世界中の苦痛を全て背負ったような絶望に満ちた声に聞こえた。そんな声で「Love Is Stronger Than Death」なんて歌われるとすごく逆説的な気がした。今、聴いてみると若干の希望が含まれているような気もするが、当時は(かなりの名盤だが)なんて暗いアルバムだろうと思った。
 社会人になりたてのころ仕事がうまくいかないときは、決まってベックの「Loser」を繰り返し聴いていた。「I'm a loser baby So why don't kill me」という歌詞が、古臭くブルージーだけれども当時最新のサンプリング技術を駆使した曲に乗せて歌われる。ヴォーカルも気だるげで焼酎でもあおりながら聴くといい感じに落ち込める。もっとも、本当に死にたくなる可能性もあるので、擬似的に落ち込みたいときの方がいいかもしれない。
 時間のあるときは、「ベティ・ブルー」を観て欲しい。僕にとっては、観るたびに百発百中で泣ける特別な映画だ。主人公のゾルグが恋人のベティに語りかけるラストシーンでかならず泣いてしまう。あまりに影響を受けたので、ときどき夜中に目覚めると、隣で寝ている奥さんに枕を押し付けたくなる衝動に駆られて困ってしまう。


Carole King
Tapestry
The The
Dusk
Beck
Mellow Gold
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
ベティ・ブルー インテグラル リニューアル完全版