山頂に立ち、しばらくすると、ここ数日雨模様だった雲の隙間から太陽が覗こうとしていた。

見晴らしの良すぎるこの場所。
世界が急激に明るく、彩りを取り戻し、息づいていく。
あのポジディブで明朗だったゲーテが亡くなる直前に寝室のシャッターを開けて「もっと光を」と叫んだことを不意に思い出した。

若かった頃に読み耽った三浦綾子の著書、「光あるうちに」も連想された。

文字なき文学。
ストーリー無き道筋。
山では色んなことを五感で学べる。

光と影。
闇と光。

プラスとマイナス。
表と裏。
良いことと悪いこと。
希望と絶望。

山なら登りと下り。
麓と頂上。

正反対の事が必ず対になってる事を知った今。
生きる事が少し楽になる。