7月も下旬、地方大会もクライマックスの様相を呈してきました。
今日の三重大会はスカッと晴れた中でのベスト4激突となりましたね。
現地で見てきましたので、その模様を書いておきます。
【第一試合】津商 14-0 松阪商
松阪商 0 0 0 0 0 = R00/H05/E1
津商業 0 13 1 0 x = R14/H11/E0
※5回コールド
[得点経過]
2裏:樋口 先制タイムリー
2裏:上林 タイムリー
2裏:古田 タイムリー
2裏:尾宮 犠牲フライ
2裏:赤田 押し出し四球
2裏:樋尾 3点タイムリーツーベース
2裏:上林 押し出し死球
2裏:古田 2点タイムリー
2裏:牧戸 2点タイムリー
3裏:宮本 タイムリー
2回に打者17人・13得点。繋がりだしたら止まらない津商の打線が爆発して、甲子園に出場した2015年以来の決勝進出を決めました。
津商は初回こそ三者凡退だったものの、2回先頭・樋尾選手のヒットを呼び水にしてそこから5連打を含む9安打、四死球も含めて打者17人を送り込む猛攻でした。これで一気に勝負を決めた形ですね。このビッグイニングは、大振りになったり簡単にフライを上げたりせず、低いライナーや逆方向への打球など、意識が徹底されていたように感じますね。
ほぼ全員が活躍したこの試合で特筆すべきは、捕手の樋尾選手でしょうか。攻守の要であり、大柄ないかにも長距離砲という風格が漂う選手でした。猛攻の口火を切るレフト前があったと思えば、ランナーを貯めたところで右中間へのタイムリーツーベース。大振りでないながらもフォローが大きい選手で、逆方向にもグングン打球が伸びる、率も長打も望めるような打者かな?と感じました。
投手では、エースの古田投手が先発、常時120キロ台中盤の真っ直ぐをインステップ気味のフォームから「横の角度」を付けて独特の軌道を描くような印象でした。立ち上がりはややボールが高いかな?と感じましたが、すぐに修正して4回途中まで無四球ピッチングでした。リリーフした中西投手は、長身で高低の角度がある投手ですね。140キロに迫る真っ直ぐで押すピッチングでした。変わり端にヒットを打たれましたが、後は寄せ付けないようなピッチング。フォームも含めてまだまだ荒削りですが、楽しみな投手だな…と感じました。
チームとして見てみると、シートノックから実戦を想定したプレーをして、準備にも余念が無いな…と感じましたし、本当に穴が少ない抜け目のないチームだと思います。
敗れた松阪商は、序盤がすべてでしたね。2回の守りはもとより、初回には1死1・3塁のチャンスもありました。2回にも得点圏にランナーを進めていましたし、それをモノにできなかった。逆に津商のファーストチャンスを逃してくれずに失点して、防戦一方となりました。
ただ、エースの服部投手は、完全に勢いづいた津商の打線にケリをつけたようなピッチングでした。失点したとはいえ、アンダースローから緩いボールで津商の打者を崩し、4回は全部内野ゴロで三者凡退というイニングもつくり、大差の中で光るところはありましたね。
【第二試合】三重 6-1 菰野
三重 000 002 031 = R6/H12/E1
菰野 000 000 010 = R1/H06/E4
[得点経過]
6表:敵失(悪送球)で1点先制
6表:端無 タイムリー
8表:上山 タイムリー内野安打
8表:高山 2点タイムリーツーベース
8裏:敵失(ファンブル)で1点追加
9表:鈴木 タイムリー
前半の投手戦を我慢して、整備明けの相手のミスからきっちり流れを掴んだ三重が、昨年に続く甲子園に王手をかけました。
昨夏の甲子園で完封した上山投手が、背番号9を付けてこの試合の先発に上がりました。140キロに迫る真っ直ぐに、今日はスライダーのキレ・制球が素晴らしかったですね。スライダーの高さを間違うことがほぼなかったですし、真っ直ぐとともに低目に集まっていましたので、ストライク・ボールの見極めができていなかったように感じました。おまけに、100キロ台のカーブとの緩急も効果的で、7回までに許した3本のヒットはすべて内野安打と、菰野打線に仕事をさせないナイスピッチングでした。リリーフした谷投手も味方の失策による1点のみに抑えて、この試合の三重高校投手陣は本当に安定感がありました。
打線は前半こそ菰野の剛腕・杉浦投手を相手に2安打だったものの、6回グラウンド整備明けの先頭で野田選手がヒットで出ると、すぐさま盗塁、そこから鈴木選手の内野安打が悪送球を誘い先制、続く端無選手もタイムリーで続き、エラーの1点だけで終わらず複数得点を先制できたのは大きなアドバンテージになりました。8回には上山投手の気迫の内野安打に高山選手の大きなツーベース。失点した直後の9回にも鈴木選手のタイムリーもありましたし、6回以降だけで10安打と攻め立てました。ラッキーヒットや内野安打もありましたが、そういった「ちょっとしたラッキー」をしっかり得点に結びつける後半の嗅覚も素晴らしかったですね。
敗れた菰野は、攻守にミスが目立ってしまいましたね。6回からの後半4イニングで4つのエラーに、記録上はヒットでもフライを捕球できないこともありました。また、攻撃ではバントミスが2つと、思うような試合運びができなかったですね。
先発のエース・杉浦投手は、130キロ台中盤の重い真っ直ぐを中心とするピッチング、変化球のコンビネーションで5回までは2安打とほぼ完璧なピッチング。後半はヒットを打たれながらも、ひたむきに投げ込み最後までマウンドを守り続けました。
杉浦投手が最後まで頑張っていただけに、守りを含めた野手の援護が欲しかった……そんな試合になりましたね。
ということで、準決勝2試合はこんな感じになりました。
4番・樋尾選手を中心とした強打が火を噴いた津商、相手の隙を突いて終わってみれば二桁安打と投打が噛み合った三重。
ともにエラーから崩れることが少ないチームが勝ち上がりましたね。
一気呵成の集中打と後半断続的にヒットが出る打線。
得点の奪い方は対照的でも、似通ったチームになったのかな???と感じます。
明後日の決勝戦は、ひとつのフォアボール、ひとつの綻びが明暗を分ける、一球の重みが今までよりも格段に重たくなるような、そんな試合になるのでは…と感じます。
さて、これにて自分の今夏の地方大会巡りは終わり。
怒濤の4週間になりましたが、本当に充実していたように感じますね。
初っぱなから雨にたたられて意気消沈もしましたが、ソレを除くと6日間で計12試合。
大差の付くゲームもありましたが、夏の大会での「一球の怖さ」も知った地方大会になりました。
こうして月日が経っていって、夏の終わりが近づく…そう思うと寂しさがありますね。
この夏も、心が揺さぶられる試合をありがとうございました。
また来月以降も、ジャンルを問わず試合を見ていきたいと思います。