「雲は湧き 光あふれて~」

 

栄冠は君に輝くの歌詞の通り、青空の向こうに積乱雲が湧き立つような「夏らしい」天気の中での準々決勝2試合となった四日市球場ですね。

 

 

ということで、その試合の模様です。

 

 

 

 

【第一試合】いなべ総合 10-0 松阪(5回コールド)

松阪 000 00 = R00/H02/E2

総合 002 44 = R10/H13/E0

[得点経過]

3裏:田中 先制タイムリー

3裏:野沢 スクイズ

4裏:森 ツーランホームラン

4裏:梶 ランニングソロホームラン

4裏:西尾壮 ワイルドピッチ

5裏:森 2点タイムリーツーベース

5裏:敵失

5裏:佐藤 サヨナラタイムリー

 

 二順目に入ってから打線のつながりを見せたいなべ総合、2年ぶりの甲子園にむけてあと2勝まで迫りました。

 いな総先発は背番号10の木戸くん。130キロ序盤の真っすぐを主体にテンポよく投げ込み、攻撃陣にリズムを与えるようなピッチング。ここぞという時にはスライダーで三振も取れますが、打たせて取るピッチングでランナーを出しても冷静なマウンド捌きは安心感さえ覚えるピッチングですね。抜け球も見られて状態はそこまで良くないのかな?と感じましたが、それでもゲームメイクするのは昨秋・今春の東海大会を経験しているから…と言っても過言ではないでしょうね。

 打線は、1巡目こそ松阪のエース・西尾(壮)くんの前に無得点でしたが、2巡目以降はしっかり捉えて計13安打。5本の長打も出るなど力強さも感じる今日の攻撃でしたね。

 中でも目立っていたのが2番セカンドの梶くん。第一打席でショート真正面のゴロを内野安打にしてみせると第三打席では左中間を深々と破るランニングホームラン。バッティングセンスもさることながら、ベースランニングの速さには驚きましたね。あとはトップバッターの森くんでしょうか。第三・第四打席でライトの頭上を越える長打、第三打席ではフェンスオーバーと、持ち前のミートセンスだけではないことを証明したのでは、と思います。

 また、コールドを決めるヒットを放った佐藤くんはチームの司令塔。大会前から「座ったまま二塁送球できる強肩」との触れ込みがありましたが、触れ込み通りでイニング間では2秒を切る強肩を披露していました。座ったまま送球するシーンもあり、客席がザワついていたのが印象的ですね。プレー中でも牽制で一塁走者を刺す場面もありましたし、視野の広い捕手であることを再認識しました。

 「強打」の面もクローズアップしましたが、いな総の最大の武器である緻密な攻撃も健在であることを示したように思いますね。3回の先制機には、4番の佐藤くんに送りバントを命じて5番田中くんの先制タイムリーにつなげると、続く6番野沢くんの初球にスクイズ。流れるようないな総の先制劇は見事でしたね。この2点が突破口を開いた形で、4回・5回のビッグイニングを形成したのかな?と感じますね。

 こういう野球ができれば、あと2戦を圧倒してしまうのでは…とさえ思ってしまうような鮮やかな速攻でした。

 

 

 敗れた松阪は、序盤で流れを掴みきれなかったのが、3回以降に響いたのかな?と感じますね。

 初回・2回とランナーを出すものの、初回にバントミスからの牽制アウト、2回にはキャッチャーからの牽制アウトと2度3度こういうミスがあれば、勝機は薄くなってしまいますね。

 ただ、2年生エースの西尾(壮)くんは二桁安打を浴びながらも5回を完投、130キロに迫る真っすぐを中心に2回で4奪三振という力投でした。打ってはレフトに大きなファウルもありましたし、素質の一端は見せられたのかな?と感じます。この大敗した悔しさを新チームでどう活かしていくのか…新チームでも注目に値する選手かと思います。

 

 

 

 

 

 

 

【第二試合】海星 12-2 四日市(5回コールド)

四日市 200 00 = R02/H04/E1

海星高 033 51 = R12/H14/E2

[得点経過]

1表:青木 先制スクイズ

1表:敵失

2裏:近處 同点2点タイムリーツーベース

2裏:森田 勝ち越しスクイズ

3裏:大須賀 タイムリーツーベース

3裏:伊藤 タイムリー

3裏:水本 犠牲フライ

4裏:伊藤 2点タイムリー

4裏:近處 スリーランホームラン

5裏:大須賀 サヨナラタイムリー

 

 2回以降、強打が炸裂した海星が、80回大会以来の夏の甲子園に向けてあと2勝まで迫る形になりました。

 先発したエースの大須賀くんは、初回に死球から送りバントで揺さぶられてミスが絡み先制を許すという立ち上がりになりました。抜ける球も目立ち、きちっとしたコントロールもされていない印象の大須賀くん、ちょっと身体が重いのかな…と感じるような仕草もあり、この試合は完調には遠いような状態だったと思いますが、2回以降は何とか立ち直ってゼロに抑えました。本調子でない中で、時折130キロを越える真っすぐを投げる辺りは、大須賀くんのポテンシャルを感じますね。また、打っては4打数4安打と主軸としての重責をしっかり担いました。芯で捉えた時の打球の鋭さ、そして打席での風格。逆方向に伸びる打球はスラッガーの素質も兼備しているのかな?と感じるほどのバッティングだと感じます。

 その大須賀くんを筆頭に14安打と大当たり。特に近處くんの長打は目立っていましたね。三塁を強襲する同点タイムリーに、レフトスタンドに突き刺さるライナー性のホームラン。二桁番号の選手にここまで良い選手がいたか…と驚嘆したくなるような素晴らしい当たりだったと思います。また、同じく二桁番号の伊藤くんも3安打3打点とチャンスでしっかり結果を残しました。二桁番号の2人で8打点と本当に選手層が分厚いな…と感じる海星の打線になりますね。

 ただ、立ち上がりに内野の連携ミスが立て続けに生じてしまったことは反省材料になりますでしょうかね。バントで揺さぶられて失策が絡んでの2失点。幸いにもこの後に打線が機能してコールドに持ち込みましたが、試合が試合なら、その2点が重く圧し掛かることも考えられるでしょうね。

 

 

 敗れた四日市は、投手陣が強打の海星打線を止められなかったですね。先発の和田くんにはじまり、出る投手全員が失点してしまうという形。また、イニング途中のピンチで登板した投手も多く、ちょっと気の毒な試合になってしまいましたね。

 それでも、初回の徹底した揺さぶりには「これはもしかして…」と希望を抱かせるようなノーヒットでの先制劇でした。レベルの高い投手を打てなくても、こうしてバントで揺さぶることで突破口を開くことができる・・・それを証明した初回の先制だったと思います。この初回の先制というのは胸を張って良いのでは…と感じますね。

 

 

 

 

という形での2試合でした。

 

 

準々決勝という場面でしっかりと打線が機能した、勝った2校と、自分たちの野球ができなかった2校。

 

 

明暗くっきり分かれてしまいましたね。

 

 

それでも、敗れた2校の「ベスト8」という事実は色褪せないですし、ここまで来たことに拍手を送りたいと思います。

松阪・西尾(壮)くんの序盤の力投、そして四日市の揺さぶり。

 

 

これを見に行くだけでも価値はあったのかな?と感じます。

 

 

 

 

一応、この観戦で今年夏の地方大会は終了…という形になりますでしょうか。

 

 

 

またちょっと、感想なんかも書きたいな…と思います。

 

 

 

ご覧いただきまして、ありがとうございました。