私の母親はいわゆる「毒親」だ。


小さい頃は暴力や暴言が当たり前で、殴られたり髪を引っ張られたり、「死ね」とか「あんたなんか産まんかったらよかった」とか他にも色々酷いことを言われたことがあった。


子どもながらに、その言葉は本当に苦しかったし、「親なのに、どうしてこんなことを言うんだろう」と何度も思っていた。


でも不思議なことに、母のことを嫌いになりきれない。最近は昔と比べてすごく落ち着いていて、普通に話もするし、優しく接してくれる。今日だって一緒にお出かけをした。だから外から見たら、仲のいい親子に見えると思う。


あれだけ傷つけられたのになぜか嫌いになれない。多分今でもどこか母に依存しているからなのかもしれない。


そして、母もまた毒親(母親が毒親)に育てられた人だった。ネグレクトや借金、男遊びの激しい人だったと話していた。私にとっては祖母にあたるが、その祖母は早くに他界している。母親自身も「早く死んでくれてよかった」と話していた。それほどに、ひどい人だったのだと思う。


そして、母自身、「あんたにはそんな育て方をしたくない」と話していたことがある。それでも実際には、私に対して暴力や暴言を繰り返していた。


今になって思うのは、母も決して好きでそうしていたわけではないのかもしれない、ということだ。幼い頃から当たり前のように暴言や暴力のある環境で育つと、それが無意識のうちに心に根付いてしまうことがある。もちろん、それで私が傷ついた事実がなくなるわけではない。


でも、母もまた傷ついたまま大人になった一人の人間だったのだと思うと、責める気持ちだけではいられなくなる。


私は、毒親には世代間で連鎖する部分があるのではないか……と、感じている。もちろん、同じような家庭で育った人が必ず毒親になるわけではないが。


ただ、自分が育った環境は、その後の考え方や人との接し方に大きな影響を与えるものだと思う。だからこそ、私は子どもを持つことに覚悟が持てない。もし自分でも気づかないうちに、母と同じような言葉をかけたり、同じような接し方をしてしまったらどうしよう……そんな不安がある。


子どもを育てることは、「好き」だけではできないと思う。私はその責任の重さを考えると、今は子どもを持ちたいとは思えない。


母を完全に許せたわけではない、でも、完全に嫌いになることもできない。それが辛い。この複雑な気持ちは、きっとこれからも簡単には答えが出ないのだと思う。


……そう考えながら散歩コースのいつもの喫煙所でお酒を飲みながらこの文章を打っていた。