ガメラ対ギャオス 大怪獣空中戦 1967 | 七梟のブログ

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【特撮】 ガメラ 1967ガメラ対ギャオス 大怪獣空中戦

 
 富士火山帯の活動が活発化し、富士山が噴火した。その噴火に導かれてガメラが現れる。ガメラは溶岩を求めて火口の中に消えて行った。一方、富士山周辺では日本縦断高速道路の工事が行われようとしていたが、金丸村長の指導で土地の値上げを企み売り渋りをする地元村民と、道路公団との間で対立が続いていた。その頃、富士山噴火の調査団を乗せたヘリコプターが山中から発射された謎の光線によって墜落した。新聞記者とともに事故現場に行った金丸村長の孫・英一は、コウモリのような翼を持った怪獣の出現に遭遇、新聞記者はその怪獣に食われてしまう。さらに英一を狙う翼の怪獣の前にガメラが登場、翼の怪獣はガメラに対して口から光線を発射、ガメラは深手を負うが、なんとか英一はガメラによって救い出された。ギャオーと鳴くことから翼の怪獣はギャオスと呼称されることになった。対策本部は攻撃を開始するが、ギャオスの超音波メス光線にあえなく撃退される。次に夜行性で光を嫌うギャオスに対して照明を使って巣に封じ込めようとするが、ある夜、ギャオスはそれを突破する。名古屋にまで飛来したギャオスは、走行中の新幹線を襲い逃げ惑う乗客をむさぼり食った。そこへ再びガメラが出現、避難民の集まった中日球場の上空で空中戦を展開するが、ギャオスの胸から出る消火液でガメラはジェット噴射を封じ込められ伊勢湾に墜落する。ガメラにとどめを刺すべく降下して来たギャオスは逆にガメラに足に食いつかれ、海中に引きずりこまれそうになる。両者一進一退のまま夜が明けて来た。途端、ギャオスは苦しみだし、自ら足を切断すると巣に逃げ帰った。回収されたギャオスの足を分析し、ギャオスの肉体が紫外線に耐えられないことを発見した対策本部は、人工血液でギャオスを回転台までおびき寄せ、回転によって平衡感覚を狂わせ夜明けまでギャオスを巣に帰さず太陽光線にさらす作戦を行うが、変電設備が過負荷になり失敗する。ギャオス対策のあいつぐ失敗で、高速道路のコースが変更されるという噂が流れ出した。土地売却の金が入るあてがなくなり、村民は金丸村長を問い詰める。己の欲深さを悟った金丸村長は、自分の持ち山に火をつけギャオスを焼き殺す作戦を提案した。山に火がつけられ、巣から出て来たギャオスと対策本部との間で消火と放火の攻防が繰り返される。その火に導かれたのか、ガメラが再度登場。しかし、ガメラは二度の戦いでギャオスの弱点を本能的に見抜いていた……!
 シリーズ第3作。全編に渡ってアイデアを惜しみなく注ぎ込み、それらがストーリーと絶妙に組み合わさった娯楽作品に仕上がっている。例えば、ガメラの飛行形態だけでも、この作品のクライマックスで初めて後脚のみのジェット噴射による飛行を見せるほか、回転しない4つ脚噴射、頭部を出したままの4つ脚噴射などのバリエーションをストーリー展開の必然性に絡ませて上手く使い分けている。また、この作品からガメラと子供の交流が明確に描かれているが、今回はさほどストーリーの前面に出ず、むしろ子供は大人にはできない斬新な発想をする者と描かれて、大人側のドラマとバランスが上手くとれている。対戦相手のギャオスはガメラと対照的な直線的を基本としたシルエットと、その狂暴な性格からライバル怪獣として絶大な人気を得、後の『ガメラ対大悪獣ギロン』では宇宙ギャオスとして登場している(なお、英一の姉すみ子を純朴に演じた笠原玲子は『対ギロン』では凶悪宇宙人役で出演している)。さらに平成ガメラの『ガメラ 大怪獣空中決戦』でもガメラと共にリニューアルされて復活を果たした。
 
大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス - Wikipedia
 
キャスト
本作は名古屋近辺を舞台とするが、撮影は調布の大映東京撮影所近辺で行われ、名古屋弁を話す登場人物は1人もいない。劇中で怪獣「ギャオス」の名付け親となる「英一少年」役の阿部尚之は、オーディションで選んだ劇団いろはの子役。よく肥えており、同じく太めだった湯浅によると周りから「監督の息子だろう」「身内を主役にした」などと言われたそうである。劇中で英一が描くガメラの絵は、実際にこの子役が描いたもの。

主演俳優は前作に引き続いて本郷功次郎だが、湯浅監督は「怪獣映画での立ち役は怪獣、ガメラが立ち役であって、本郷功次郎さんはどんなに二枚目でも“もたれ役”なんですね。怪獣を目立たせる役目なんだ。ですからあまり印象に残る演技は出来ない。螢雪太郎さんとか、上田吉二郎さんの方が目立つんですよ」と語っている。

「金丸村長」役の上田吉二郎は「怪獣を喰ってやろう」との意気込みだったそうで、湯浅は「一世一代の名演技」と評している。湯浅は大映怪獣映画の特徴として怪獣の顔のアップを積極的に採り入れたと語っているが、上田はアップでガメラと対抗しようとしていたといい、湯浅がNGを出すときにわざと「今の演技、ちょっとガメラに負けてますよ」と言うと「そりゃいかん、もういっぺんやりましょう」と乗りに乗って演技をしてくれたという。

海に浮かんだギャオスの足を検分する巡査役の飛田喜佐夫は、湯浅が子役所属していた児童劇団「カモシカ座」のベテラン俳優。アナウンサー役の森矢雄二は大映技術部長の息子だった俳優で、冒頭のナレーションも担当している。ガメラシリーズでは、アナウンサーはすべて森矢が持ち役として担当している。
堤志郎(道路建設技師):本郷功次郎
金丸すみ子(村長の孫娘):笠原玲子
マイトの熊(労務者):丸井太郎
青木博士:北原義郎
自衛隊中央部司令官:夏木章
金丸辰衛門(村長):上田吉二郎
東洋医学研究所員・山田:村上不二夫
牧場主:北城寿太郎
中日新報記者(後部座席):仲村隆
八公(労務者):螢雪太郎
金丸英一(すみ子の弟):阿部尚之(劇団いろは)
県警本部長:大山健二
道路公団開発局長:伊東光一
岡部カメラマン:三夏伸
アナウンサー:森矢雄二
地震研究所所長:丸山修
記者:津田駿
巡査:飛田喜佐夫
道路公団地方課長:遠藤哲平
ホテル・ハイランド支配人:ジョー・オハラ
営林署の技師:原田該
村人:伊達正、中田勉、槙俊夫
中日新報運転手:高見貫
中日新報カメラマン:志保京助
村人:杉森麟
記者:武江義雄
労務者:九段吾郎
変電所技師:森田健二
牧童:河島尚真
船員:中原健
工員:喜多大八
記者:大庭健二
労務者:後藤武彦
自衛隊副官:井上大吾
新幹線の客:隅田一男、高田宗彦
村人:米沢冨士雄
船員:山根圭一郎
車掌:荒木康夫
記者:南堂正樹
労務者:藤井竜史
岡郁二
工員:花布洋
労務者:前田五郎
金丸家の婆や:竹里光子
地震研究所所員:天地仁美
新幹線の客:一条淳子
村人:岡田陽子
ガメラ・村人:荒垣輝雄[注釈 13]
道路公団開発局員:西尋子(ノンクレジット)
 
大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』/1967年 シリーズ3作目 | おじなみの ...
 
スタッフ
監督:湯浅憲明(本編・特撮とも)
製作:永田秀雅
企画:仲野和正
脚本:高橋二三
音楽:山内正
撮影:上原明
録音:奥村幸雄
照明:久保江平八
美術:井上章
編集:中静達治
スチール:椎名勇、塩見俊彦
助監督:小林正夫
製作主任:川村清
《特殊技術》
撮影:藤井和文
合成:金子友三
照明:熊木直生
美術:矢野友久
操演:金子芳夫
助監督:阿部志馬
音響効果:小倉信義
怪獣造形・操演:エキスプロダクション
 
 
 

ひばり児童合唱団 ガメラの歌(大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス)

 
作詞:永田秀雅
作・編曲:小町昭
唄:ひばり児童合唱団
演奏:大映レコーディングオーケストラ
予告編と本編のエンディングテーマに使用された。バックに前2作と本作のハイライトシーンが流れるが、これは大映本社の意向だった。海外売りの際に上映時間の規定を満たすための処置で、以後の定番となった。湯浅は「歌にシンクロして画面が出る」というこの趣向を「のちのカラオケ方式」と評している。