上原正三さん追悼 | 七梟のブログ

七梟のブログ

気まぐれ

【訃報】上原正三さん死去 『帰ってきたウルトラマン』や『秘密戦隊ゴレンジャー』を担当

上原正三さん(うえはら・しょうぞう=シナリオライター)が2日、肝臓がんで死去、82歳。

37年、沖縄県生まれ。中央大学卒。65年、円谷プロに入社し、「ウルトラセブン」「怪奇大作戦」などのシナリオを担当。69年からはフリーとして「帰ってきたウルトラマン」「秘密戦隊ゴレンジャー」など数多くの特撮、アニメ作品を手がけた。

 

 

帰ってきたウルトラマン

『帰ってきたウルトラマン』第33話「怪獣使いと少年」

1971年11月19日放送。脚本:上原正三 監督:東條昭平

差別や未知なるものへの恐怖心、集団心理の恐ろしさを描いたエピソード。
在日朝鮮人に対する差別や工業発展に伴う環境汚染など、当時の日本社会が抱えていた様々な社会問題に対する痛烈な批判とも取れるその設定。そして人間の醜い一面、おぞましい姿をくっきりと描写し、当時も今も多くの視聴者に強烈な印象を残した。本エピソードで、善悪というものについて考えさせられたという人もいるであろう。
そのあまりにも過激な内容ゆえに問題作として有名だが、同時に帰マンでも指折りの傑作としてまず真っ先に名を上げるファンも数多い。
そしてなにより、歴代ウルトラシリーズでも他に類を見ない、ウルトラマンが人間に絶望し、一度は戦いを放棄してしまうという衝撃の展開で知られている。

2020年1月に脚本を担当した上原氏が死去したことを受けて円谷プロダクションはその功績を偲び、同社のプレミアムデジタルメディア「TSUBURAYA・GALAXY」において本エピソードを無料公開している。

 

 

帰って来たウルトラマンより「怪獣使いと少年」音楽集

 

あらすじ 

 

ある嵐の夜の事。一人の少年が怪獣から逃げていた。
そこに現れた謎の男は不思議な力を使い、その怪獣を地底深くに封印した。

その少年、佐久間良はボロボロの衣服を身に纏い、河原の土を掘り返していた。
そこに不良中学生三人組がからかいにやってきた。いつからか宇宙人ではないかと噂されていた良は三人から陰湿ないじめを受けていたのだった。
良の家と思われる廃墟に近づいた三人を止めに入った良を振り切り二階に上がろうとしたが、突如中学生たちの体が宙を舞い、放り投げられた。

「あいつが宇宙人ならいろんなことができるはずだ」と良は三人に掘り返した穴の中に埋められた上に泥水をかけられ、自転車ではねられそうになったが、間一髪のところで郷秀樹が止めに入った。
なんで酷いことをするんだという郷に三人はあいつは宇宙人だから倒してくれと言ってきた。
三人のいじめはさらに続いた。翌日、昼食のお粥を食べていた良の元に現れ、お粥を取り上げて地面にぶちまけ、下駄で踏みにじったのだった。
始めは耐えていた良だったが、ついに我慢の限界を迎えてしまう。突然の事に中学生たちは連れてきていた犬をけしかけた。だが犬は突然木っ端微塵に爆発してしまった。

そのころMATでは郷によって良の身元が洗われていた。
良は北海道の出身であり、就職目的で上京した父親が失踪。母も病死したことで天涯孤独となり、父を訪ねて自分も上京してきたのだった。
良はれっきとした人間だった。事情を知った伊吹隊長は語る。

「良くんはあの廃墟の中に父親に似た愛のぬくもりを発見したのではないだろうか。もしその父が宇宙人で、そのために良君が宇宙人呼ばわりされ乱暴されて、情愛の絆を断たねばならないとしたら、それは絶対に許されぬ。日本人は美しい花を作る手を持ちながら、一旦その手に刃を握るとどんな残忍極まりない行為をすることか…」

伊吹は郷に良の見守りを命令する。

雨の降りしきる中、良は商店街にパンを買いにやってきたが、パン屋の女性は「巻き込まれたくない」とパンを売らなかった。
とぼとぼと帰る良。するとパン屋の娘が後を追い、彼にパンを渡したのだった。

「同情なんかいらないよ」
「同情なんかじゃないわ。だってうちパン屋だもん」

良は初めて笑顔を見せた。
嬉しさのあまり、駆け出して河原に帰る良。その良に手を振って身を繰るパン屋の娘。

その後パン屋の店主が
「あの子超能力使えるんだって、毎日買いに来るよこれから…」
と娘を叱るが、
「でも、いいんじゃない。うち、パン屋だもん」
と笑って店主を説得。
店主は呆然とした表情で良を見送るのであった。


廃墟へと帰ると、郷が来ていた。出ていけと噛みついてきた良を止める一人の老人が現れる。
ぼさぼさ髪に片目が見えない老人。彼こそがリョウが守っている「おじさん」であった。
おじさんの正体はメイツ星人という宇宙人であり、すでに郷に正体を明かしていた。
リョウが上京したのと同じ時期に地球の気候風土の調査のためにやってきたのだが、怪獣に追われている良を見捨てられず、念力を使って封印し、寒さと飢えに苦しむ良を保護したのだった。
星人はその後人間に変身して「金山」と名乗り、良と河川敷の廃墟で共に暮らし始めた。
その暮らしの中で、良と金山の間には親子愛にも似た絆が芽生え、金山も良とこのまま地球で暮らしてもいいと思い始めていた。

だが地球の環境汚染は徐々に金山の体を蝕んでいき、埋まっている宇宙船を掘り返せないほどにまで衰弱してしまった。良が掘り返していたのは彼の宇宙船だった。
全てを知った郷は、宇宙船探しを手伝うことを決めた。
一緒に河原を掘り返す中、郷は父親について尋ねたが、良は「父親なんかいらない。地球は今に人間の棲めない星になるから宇宙船が見つかったらおじさんと一緒にメイツ星に行く」と返した。

複雑な表情を浮かべる郷。だがその時、町の男達が大挙して押し寄せてきた。
MATがいつまでも宇宙人を倒さないなら自分たちでやっつけてやると武器を片手に攻め入ってきたのだった。

人々に引きずられていく良の悲鳴も、郷の静止の声も、我を忘れ、暴徒と化した人々には届かなかった。
だがそこに金山が飛び出してくる。

「待ってくれ!宇宙人は私だ!その子は私を守ってくれていただけだ、宇宙人じゃない!さあ、その子を自由にしてやってくれ!」

一瞬静まり返り、良を解放する人々だったが、宇宙人をほおっておくと何をしでかすか解らないと金山に武器を向ける。
大混乱に陥る中、良はおじさんに酷いことをすると何が起こるか解らないと叫ぶ。
だが、警官が放った銃弾が金山に二発命中。金山は倒れ伏せ、死んだ。
泣きながら金山の亡骸にすがる良。最悪の事態に陥った悔しさから地面に拳を叩き付ける郷。

その時、河原から煙が噴き出し、地底から怪獣が現れた。
金山が死んだことで封印が解かれた大怪獣ムルチが復活したのだった。

驚き逃げ惑う男たちは怪獣を退治してくれと叫ぶ。
警官は金山を殺害した拳銃をムルチに向けて発砲した。しかし、ムルチには通じない。
その光景を郷は見ていたがその場に座り込んだままだった。

「勝手なことを言うな。怪獣を出したのはあんた達だ。まるで金山さんの怒りが乗り移ったかのようだ…」

人間に絶望した郷ことウルトラマンジャックは、人々を見捨てる決断をした。
ムルチは愚鈍な人間たちに制裁を加えるかのように口から吐く火炎を武器に暴れ回り、町に入った。 誰もいなくなった河川敷。座り込みを続ける郷の前に、一人の僧侶が近づいてきた。

「郷、町が大変なことになっているんだぞ。郷、解らんのか?」

顔を上げる郷。その僧侶は伊吹隊長だった。 

 

決意した郷はウルトラマンジャックに変身。降りしきる豪雨の中ムルチと戦い、スペシウム光線でムルチを粉砕した。その断末魔は人間の悲鳴に似ていた。

雨が上がった。だが良は再び穴掘りを始めた。

「おじさんは死んだんじゃない。メイツ星へ帰ったんだ。だから自分も宇宙船でメイツ星へ行くから、その時は迎えに来てくれ」

「彼は一体いつまで掘り続けるつもりだろう?」(上野)
「宇宙船を見つけるまではやめないだろうな。彼は地球にサヨナラが言いたいんだ」(郷)

そんな良の様子を、郷と上野は遠くから黙って眺めていた。 

 

 

 

当時の反響

あまりにも過激な演出と救いようのない陰惨な結末ゆえ、TBSの上層部から痛烈な酷評を受け、監督の東條昭平は助監督に降格、脚本を担当していた上原正三も最終回まで仕事を干される羽目になった。
実は制作当初はここまで暗い話になる予定ではなく、脚本の中には「次郎とアキが登場し、アキが良にパンを笑顔で譲る」「暴徒と化した市民が止めようとした郷に石をぶつけて郷は出血。さらには次郎までも木ぎれを投げつけられ倒れる」など坂田家の人々のやさしさとMATのいつもの風景が描かれる予定であった。
こうなった理由は脚本担当の上原正三が「差別はどこにでもあり、立場により変わる」 「本土に行くよりもここで沖縄人として生きてみよう、自分の肌で感じる差別、それが何なのか突きとめてみよう」といった思想や自分の体験を重ね合わせ、単に差別だけを上げただけでは意味がなく一歩を踏み出す勇気が必要であるといった考えがあった故のことであったのだが、監督の東條昭平が映像では坂田家やMATの場面を全てカットしてしまい救いようのない物語として生まれたのがこの物語であった。
上原氏は後年、このシナリオばかりが話題に上がる状況に「あの作品は僕のなかの差別に対する反発がちょっと出すぎている」「自分の本音は殺して書くんですけれども、あのときはナマ(生意気)過ぎたというか」など複雑な心境で語っており、ウルトラセブンの未制作シナリオ「24年目の復讐」が映像化された際に脚本解説の會川昇が「脚本と映像は必ずしも同一でなくてもよいのだ」と言及している。

 
 
ミクロ化したウルトラセブン初めての挑戦

松坂慶子さん ウルトラセブン

「悪魔の住む花」
『ウルトラセブン』制作第31話
1968年5月5日放送(第31話)
脚本 上原正三
監督 鈴木俊継
特殊技術 的場徹

物語
花の香りを嗅いだ途端に意識を失って倒れた少女・香織。
貧血の疑いで同じ血液型のアマギ隊員が呼ばれるが、その夜、香織は目を覚まして……。

まだ無名時代の松坂慶子さんが出演した事で有名な話。
今回の話はメロドラマのようだが、香織が幼くてアマギ隊員と釣り合っておらず、兄と妹のように見えた。(当時、古谷敏さんが24歳で松坂慶子さんは15歳)

 

「悪魔の住む花」~後半 セブン暗殺計画 前篇

 

宇宙細菌ダリー
身長 1mm
体重 0.1g
花弁によく似た銀色の卵から孵った宇宙細菌。
人間に寄生して血液中のフィブリノーゲンを摂取し、寄生した人間を吸血鬼に変えてしまう。
口から霧を吐く。
ウルトラセブンを追い詰めるが、医者が打った注射の影響で復活したウルトラセブンのウルトラバブルで溶かされた。
名前の由来はスペインのシュールレアリスト「サルバドール・ダリ」から。 

 

1966年に公開された『ミクロの決死圏』をモデルにした話。
ウルトラマンはミクロ化はしていなかったので『ウルトラマン』との差別化が果たされている。一応、多くのウルトラマン達がミクロ化も可能と言う設定になっているようだが実際にミクロ化したのは少ない。

ドラマに関しては「吸血鬼」の要素があり、美しい少女が人間を襲う化け物になると言う悲劇がある。
また劇中で言及されているように『眠れる森の美女』の要素もあり、遊園地のシーンのようなメルヘンチックな演出がある。
その他にもキリヤマ隊長が「宇宙の悪魔に呪われている」と言ったようにダリーに寄生されて人間を襲うようになるのは「悪魔憑き」の宇宙版とも言える。

 

ダリーに寄生された事で夜中に彷徨うようになった香織の姿は「睡眠時遊行症(夢遊病)」を思わせるものでもあった。

 

香織とアマギ隊員の血液型は特殊なものらしい。AB型のRh-かな?
因みにAB型の男性の性格は「何事も起用にそつなくこなす」「防衛本能が強く、相手を理解するまで自分を隠す」「いつも冷静だが恋に燃えると情熱的になって詩的な表現を用いたりする」となっている。

 

心より追悼の意を表します。 夢をたくさんありがとうございます。

 

帰ってきたウルトラマンDVD宣伝用PV