福島事故 2024 その14: 黒ソイ | 夢破窓在のブログ

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福島事故 2024 その14: 黒ソイ

毎年恒例の事故の話、同じ内容になりますが、視点を変えてみる努力をしながら、問題点を挙げてみようと思います。

共同通信の記事です。(全文後載)
東京電力福島第1原発の港湾内で5月に捕獲した魚(クロソイ)から、食品衛生法が定める基準値(1キロ当たり100ベクレル)の180倍の放射性セシウムが検出された。
(中略)
原因究明と追加対策を余儀なくされている。

2023/07/09(日) 23:26:49


ソイの話はこれまでも何度か説明をして来ました。
重複しますが何度でも同じ事を書き込みます。
今回はムラソイではなく黒ソイだそうです。
ソイの汚染の原因が「生体に蓄積」されたものであれば、港湾内で釣れた魚には似たような量のセシウムが検出される筈です。
排水路によって汚染されたとしても同様です。
もっと頻繁にこんな魚が見つかっている筈なのですが、極く稀にしか発見されないのは何故なのでしょうか?

汚染の原因はソイが食べた獲物(ゴカイ・イソメ)にあります。
獲物はなぜ汚染されたのか?
海底に汚染物質(ホットスポット)が存在し、この上を通過したゴカイにセシウム137が付着しました。

福島第一で作られた核のカケラのセシウムは、燃料棒の破損により水と激しく反応して、水素と水酸化セシウムが作られました。
水酸化セシウムは多くが水蒸気と絡み合って(親和して)行動を共にしましたが、一部は炉内の水に溶け込みました。
水蒸気と行動を共にしたセシウムは、煙突からブチ撒くことにして「ベント」が行われましたが、煙突からは出て行かず、建屋に還流して水素の破裂でモクモクと空を目指しました。一部は静岡まで飛んで行って「セシウムさん」などと呼ばれました。
格納容器に閉じ込められていた時に、その強アルカリ性の物性から格納容器内の機材に付着し、腐食させて容器内にこびりついたものもあります。

「冷温停止」とやらで東電は水に溶けていた炉内の水酸化セシウムを洗い流してしまいました。
水酸化セシウム水溶液は当時2基しかなかったタンクに収容されますが、一部はそのまま海に垂れ流されたと思われます。

2基のタンクでは満杯になるのは明らか、東電はこの水溶液の海への放出の許可を求めました。
「勝手な事をするな、俺の指示を待て」
工業大学出が自慢のお馬鹿さんが命じましたが、「俺の指示」はひと月近く経ってもなされず、結局タンクの水は満杯になって海に放棄されました。

タンクに収容された水酸化セシウム水溶液は重たい液体ですからタンクの底の方に沈殿し、濃度が増して行きます。
何が起こるのか?
ひと月近くも置いておくと、水酸化セシウムの結晶が底面に析出します。
次に結晶は水を吸いこんで寒天状の物質になります。
程よく寒天が出来た頃、と言ってもさほどの量ではありませんが、開口してタンクの水を港湾内に放出しました。
寒天は砕けながらも防潮堤内の海底に撒かれて、「海底ホットスポット」を形成しました。
この寒天の上を通過したゴカイにセシウムの一部が付着する。
これを食べたソイが汚染されるという話。

ゴカイに付着したセシウムは這いまわっている内に剥がれて行きます。
ソイの体内に入ったセシウムも多くは便として排泄されて行きます。
付着したばかり、食べたばかり、時間を置かずに話が進まないと汚染魚は存在しません、そんな魚が釣られたと言うのです。
大変確率の低い現象ですから、数年経って同じ報道がなされる。
ホットスポットは元々数が少ない上に、10年前に比べて散りじりになっていますから、これからはこんな魚が釣れる可能性は更にずっと少なくなるでしょうね。

2013年1月18日に釣れたムラソイは1kgあたり25万4000ベクレル
今回の魚は14分の1の量です。
ゴカイに付着する量はホットスポットの通過の仕方で変化しますから、一概に比較はできませんが、10年経ってホットスポットが小さくなったと想像できます。

原因は寒天(海底ホットスポット)です。これを作った犯人の名をとって、「菅天」と呼ぶようにしています。
タンクになど貯めずに放出していればソイも汚染される事はなかった。
建屋天井からモクモクやって海に落下したセシウムの量の事を考えると、タンクに貯めた方ばかりに気を遣うのはいかがなものか?

ムラソイの重量は300g程でしょうか?
丸々食べれば約8万ベクレル。
ムラソイは釣られるまでは元気だったようです、小さな魚ですら影響を受けたと思われないのに、人がこれを食べたからと言って問題があるとは思えません。
気になる人はゴカイが潜む魚の内臓を食べないようにする事です。

原因究明と追加対策」こんな事をして電気代を値上げされたのではたまったものではありません。

参考:

「福島事故の時の首相が菅直人で良かった」   坂本龍一

記事:
【福島第1原発】基準値180倍のセシウム、発電所港湾内で捕獲の魚から 原因究明と追加対策を余儀なく 
2023/07/09(日) 23:26:49.94ID:
東京電力福島第1原発の港湾内で5月に捕獲した魚(クロソイ)から、食品衛生法が定める基準値(1キロ当たり100ベクレル)の180倍の放射性セシウムが検出された。捕獲したのはセシウムの濃度が高い排水が流れ込む区画で、これまでも基準値超えの魚が見つかっている。原発10キロ圏で漁は行われておらず、東電は魚が出ないよう網を設置しているが、原因究明と追加対策を余儀なくされている。
東電は、夏ごろの海洋放出開始を目指す処理水に含まれるトリチウムは生物に蓄積されず、セシウムを含むほかの放射性物質は放出基準値未満になるまで浄化していると説明している。
今回のクロソイは大きさ約30センチ。1キロ当たり1万8000ベクレルは、海面付近の海水の平均1リットル当たり約5ベクレルから考えても「説明のつかない高濃度」(東電)だった。
原因と考えられるのが、原発構内の雨水などが集まる「K排水路」だ。当初は外洋につながっており、建屋やがれきを伝って汚染された高濃度の雨水が流出するトラブルがたびたび起きた。このため2015年に排出先を港湾内の1~4号機海側の防波堤で囲まれた区画に付け替えた。区画内の海底の土は1キロ当たり10万ベクレルを超えており、海底付近の海水も濃度が高くなっている可能性がある。
今後、海水を詳しく調べるほか、セメントを混ぜた土で海底を覆ったり、区画の出口を囲むように強度の高い網を設置したりする方針。(共同)
2023年7月8日22時12分


(一言)

記事の更新は一日置きに行う予定です。