福島事故 2024 その8: 2号機建屋 | 夢破窓在のブログ

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福島事故 2024 その8: 2号機建屋

毎年恒例の事故の話、同じ内容になりますが、視点を変えてみる努力をしながら、問題点を挙げてみようと思います。
写真1)

2号機だけは建屋が無事です。
なぜ2号機では水素の破裂が起きなかったのか?

東電のサイトより:
炉心損傷の後の圧力容器及び格納容器の損傷に伴い、水素が原子炉建屋に漏洩したと推定されますが、2号機では原子炉建屋上部側面のパネルが1号機の水素爆発の衝撃で開きました。このため、水素が外部へ排出され、原子炉建屋の爆発が回避されたと推定されます

水素の破裂が起きなかったのですから原因は、
1) 水素の量が少なかった。
2)  酸素の量が少なかった。
3) 点火するマッチに相当するものがなかった。
以上の3つです。

1) 水素の量が少なかったのか?

2号機では圧力抑制プールが爆音をたててパンクしました。
水蒸気やキセノンは「漏洩」という話ではなく圧力抑制プールの穴から一気に噴出しました。
写真1)をご覧ください。
2号機のブローアウトパネルは海に向って開いています
横にある1号機で破裂が起きても衝撃を受ける位置にはありません。
写真2)

2号機建屋の1号機側の壁をご覧ください。

パネルは落ちるどころか、傷一つ付いていないようです。
水素爆発の衝撃」なんてあったのでしょうか?
水素は大変軽い気体である上に高温でした。
一気に建屋の天井を目指した筈です
横穴から出て行く量は圧力抑制プールのパンクの位置にもよりますが、いか程の量でもなかったと考えられます。
上の東電の説明では水素は多くがこの穴から出て行ったように受け取れますが、そんな馬鹿な話はない。

1、3号機では格納容器上部のベントバルブが開けられ、上部に溜まっていた軽い水素や水蒸気が先に建屋に排出されました。
2号機では圧力抑制プールがパンクした為に、圧力抑制プールの上部に充満していた、重たいキセノンや水酸化セシウム親和水蒸気が先に建屋に出て行き、続いて格納容器の下部の気体が上部の水素の圧力に押し出されて行きました。
3号機に比べて建屋に排出された水素の量が少なかった、水素は多くが格納容器に残った事が考えられます。
但し、破裂は水素と空気(酸素)の境界の分子運動で起きたのですから、一定量の水素が排出されていれば総量が少なくても境界が形成されますので破裂は起きます。
水素の大半が格納容器に残ったのであれば破裂は起こりません。

2) 酸素の量が少なかったのか?

3号機のベントで4号機に気体が還流したように、煙突を1号機と共有している2号機には1号機でベントした気体が還流していると考えられます。
となれば2号機でも破裂は起きた
1号機から還流した気体はベントまでに時間がかかっていた為に温度も低く、発電規模からして量も少なかった。
破裂は小規模にとどまり、建屋サイズが大きい事もあってブロウアウトパネルが飛んで横穴が開いただけで済んだ
建屋内はこの破裂で酸欠状態になっていた。

気体が噴出して、これに押されて建屋の空気(酸素)が横穴から押し出されました
最初に噴出した気体は2号機の場合は重たい気体ですが、高温の為に空気の上に昇ります。
横穴より上にあった空気は押し下げられる、と同時に後から出てくる水蒸気に押し上げられて挟まれる。
多くの空気(酸素)が横穴から出て行く。
外部に排出され」たのは水素ではなくて空気(酸素)です。

3) 点火するマッチに相当するものがなかったのか?

点火に必要なマッチの役割をするのはキセノン133、セシウム137が放つガンマ線です。
2号機では下部から気体が放出された為、建屋に向ったキセノンやセシウムの量が多く、放射線量(=マッチの量)は十分であったと思われます。

1)2)の二つの要素が絡みあって建屋破壊は免れました。
好条件が重なって破壊は免れたのか、どれか一つの理由で免れのかは判断できません。

確かな事は冒頭の東電の「水素は横穴から出て行きました」という推定は「お粗末で話にならない」と言うことです。

NHKは「2号機の汚染が最悪」と大問題かのように報じていましたが、1号機から気体が還流した上に、キセノンがたっぷり入った場所をパンクさせたのですから当然の話です。
建屋の汚染は最悪でしたが、建屋からモクモクとやらなかったので、周辺への環境汚染は免れました。
外部が汚されずに「良かった」という話がNHKの手にかかると「最悪」になってしまいます。

福島第一原子力発電所事故の経過と教訓
https://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/outline/

2号機はなぜ過酷事故に至ったか
https://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/outline/2_5-j.html

(一言)

記事の更新は一日置きに行う予定です。