福島事故 2024 その2: IC | 夢破窓在のブログ

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福島事故 2024 その2: IC

毎年恒例の事故の話、同じ内容になりますが、視点を変えてみる努力をしながら、問題点を挙げてみようと思います。


東電のサイトより。

非常用復水器は弁の開閉だけで冷却を行うことができます。地震の後、緩やかに炉心を冷却するために非常用復水器の弁を開閉していましたが、津波により全ての電源を失ったときにはこの弁を閉めていたため、再び開けることができなくなり、非常用復水器は冷却機能を失いました。

この説明が正しいものだとしたら、
1)
非常用復水器(IC)は人為的に弁を開閉しないと使い物にならない冷却装置である。
2)
ICの弁は電源が失われると開閉できなくなる、つまり手操作では開閉出来ない仕組みである。
3)
操作員が逃げ出したり、避難命令を受けたり、地震で怪我でもしていると冷却が不可能になる仕組みである。

こんな装置を非常用の冷却装置として使用していたというのです。

「穏やかに炉心を冷却するために」
どう考えても、IC配管に70気圧286℃の蒸気が通過しても、炉心が急に冷却されるとは思えないし、急にでも冷却しなければならない状況下なのではないでしょうか?
なぜ穏やかに冷却する必要があるのですか?
このICは弁を開放して置くだけで「穏やかな」冷却が出来る装置です。
「穏やかな冷却」しか出来ない装置です。

この時点ではまだ電源は確保出来ています。
通常停止時に稼働させる冷却機構も動作している筈です。
わざわざIC配管のバルブを開け閉めしないでも、通常冷却のポンプの電源をオンオフすれば素早く効率的に「穏やかな」冷却が出来た筈なのです。

電源を喪失しても利用可能なように、高いところに100トンの水のタンクを二つ設えているのです。電源が利用可能な前提であれば高い所にタンクを置く必要はありません。
ポンプで注水すれば良いのですから。
電源がなくなって、それで機能を喪失したと主張するのはおかしいのです。

どこぞの国のように、船長が逃げ出してしまうことはないでしょうが、操作員が必要だという前提も馬鹿げています。地震で無事だったとしても、操作室の放射線量がリミットを越えた場合は、操作をやめて避難指示をする事になるのではないのですか?

実際にはどのような操作が行われたのか?
緊急冷却が作動しバルブが開かれると、圧力容器の水(高圧熱湯)はボコボコと泡を立てて沸騰し、水蒸気がICに流れ込んだ分だけ水位が下がります。
その後、どうなるのか?

皆さんはドラム缶がベコベコ凹む画像を見た事がありますか?
水を少量入れたドラム缶を焚火の上に置いて暖めます。
激しく蒸気が上がり始めたならば、蓋を閉めて火を止めます。
缶に水を掛けると、しばらくしてベコベコ・・。
大気圧力の力というか、真空の力を知る実験です。

ICの配管に導かれた水蒸気はどうなるのか?
温度がある値まで下がると、一斉に液化が始まります。
配管の中はドラム缶のように真空状態になります。
配管はベコベコ凹むのか?
強度は計算してあるので凹むことはありません。
と言うより、蓋を閉めたわけではありません。
圧力容器から一気に蒸気を吸いこむことになります。
圧力容器の水は突然ボコボコ沸騰し水位が下がって行きます。

この水位(推移)を見ていた操作員が、配管に破綻が生じたと誤解して冷却装置のバルブを閉じてしまったようです。

東京新聞(アテには出来ませんが)の報道によると、「作動12分後に配管が破綻した」と書かれています。
破綻したわけではありません。
液化に12分ほど時間がかかったようです。
もしもこの時点で配管が破裂したなら、圧力容器の高圧の蒸気は破綻部からタンクに排出され、排気口(豚の鼻)から水蒸気が噴出した筈です。
そんな光景は観測されていません。

結局2つのICに蓄えられた200トンの水を蒸発させて冷却を行う予定が、蒸発させる事が出来たのは50トン以下だったようなのです。

1号機のICバルブ閉鎖は、理科の常識を知らない人間のしでかした愚挙だったのです。

電源が確保され、通常の冷却機構が稼働している間は、ICのバルブを閉じたからと言って冷却にさしたる影響は出ません。
操作員はそれ故に気軽にバルブを閉じたのかも知れません。
電源を失った時に、ICのバルブを開放しなかった事が問題でした。
さらに冷却が行われていない事を吉田所長に知らせなかった事が大問題でした
電話が通じなくても、自ら出向いて相談をしなければならない重大事態なのに動いた形跡がありません。
操作員は緊急時の対応についてどのように訓練されていたのでしょうか?

注)

図の右側に書かれている「直流電源」云々の説明は無視してください。
電源喪失時に「どんなセンサーの仕組みで喪失を認識するのか?」
「どんな動力で自動的に弁を閉じるのか?」
馬鹿げています。

福島第一原子力発電所事故の経過と教訓
https://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/outline/

1号機の事故について
https://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/outline/2_3-j.html


(一言)

記事の更新は一日置きに行う予定です。