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Q04 (続き)

Wik「ポロニウム210」からの抜粋です。

体重70kgの成人男性の場合1億1100ベクレルで致命的とされる。これは質量にして僅か670ngであり、塩粒より小さい程度しかない。
半数致死量で比較すると、シアン化カリウム(青酸カリ)の37万倍、人工物で最も毒性の強いVXガスの240倍毒性が強く・・・。


私がPo210がウラン崩壊系列の中では一番人への影響が少なくて安全、と説明しているのに何ですかねこれは?

ポロニウム210には人工的に作られるPo210と自然界に存在するPo210があります。
人工的に作られるものは、中性子源として核爆弾や原子炉の立ち上げ用に使うものです。ベリリウムという物質にアルファー線があたると核分裂を起こして中性子が放出されます。このアルファー線源として使われるわけです。
Bi109という物質に中性子線を当てて作るのだそうです。

1億1100ベクレルのポロニウムが放出するアルファー粒子のエネルギーは、1億1100万ベクレルのプリントミスだとして、
 1.11x10^8x5.307=5.891x10^10MeV
ジュールに換算して、
 5.891x10^10÷6.24x10^12=9.44x10^-3ジュール
おおよそ0.01wの熱です。
こんな熱でどうして致命的になるのか理解できません。
何処かで人体実験でもして試したのでしょうか?
化学的には酸素や硫黄と同属ですが図体が大きいのでラジカルがどうのと言う事にはなりそうもないし、青酸カリの37万倍もの毒性を示すとは思われません。

1gの人工Po210があったとします。
1gに含まれるPo210原子の数は、
6x10^23÷210=2.857x10^21個
Po210の半減期は138.376日ですから崩壊定数は5.8x10^-8。
1gのPo210の崩壊量は、
 2.857x10^21x5.8x10^-8=15x10^13ベクレル
崩壊熱量は、
 15x10^13x5.307=7.963x10^14MeV
ジュールに換算して、
 7.963x10^13÷6.24x10^12=127.6ジュール
100wを越えます。
こんなのを飲んだら、お腹の中を火傷します。

ロンドンのすし屋で殺されたロシアのスパイ、100mg飲まされたとして12.8w。
10wの電球なんてたいして熱くなさそうですが、フィラメントに直接触れる状況で体内を通過するのですから焦げるでしょうね。15兆ベクレルですからね。
11月1日に摂取して11月19日に収容された病院で亡くなっています。
猛毒とは言えません。
猛毒と言うからには、飲んで直ぐに口から血が出て「お主謀ったな・・・」というくらいで死んでいただかないと。
37万倍も強力なら、せめて青酸カリの半分の時間で死んでいただかないと。

自然界に670ngのPo210が存在したとします。
U238の半減期は4.468x10^9年。
Po210の半減期は年換算で、
 138.376÷365=0.379年。
比放射能を比較すると
 4,468x10^9÷0.379=11.789x10^9
ウランの存在量は、
 670x10^-9x11.789x10^9=7898.6g
約8kgの自然U238が存在すれば、その中に670ngのポロニウムが生まれて存在している計算です。
自然界にU238の塊がまとまって8kgも存在する事はありません。
8kgのU238を内蔵する鉱石があったとしても中にあるPo210を「塩粒より小さい程」の塊にして、寿司のしゃりとネタの間に挟んで食べるというわけには行きません。

六ヶ所村の再処理工場になら大量のU238がある?
あそこにあるのは何年か前に6弗化ウランの形にした後、純粋なウランだけを取り出したしたものです。ウラン鉱石の段階なら娘達は存在したのでしょうが、燃料ペレットの中には娘達はまだ誕生していません。
U238は半分崩壊するのに44.6億年かかります。
核燃料のウランはここ40年ほどに精錬されたものですから、娘のU234になっているのは極々僅かです。
U234は24.5万年かけて半分がTh230になります。
Th230は7.7万年かけて半分がRa226になります。
Ra226は1600年かけて半分がRn222になります。
たった40年ではラジウムは出来ません。
ラジウムが出来れば後の進行はそれほど時間はかかりませんが、670ngのPo210が登場するにはウランが崩壊を始めてから悠久の時間が必要です。

670ngで人が死ぬものだとして、これを重量で青酸カリと比較して37万倍とやるのは犯罪に近い大嘘です。
青酸カリならメッキ工場や鋳物工場で何十グラムでも手に入ります。(金庫の鍵を持っていれば。)
口に入る塩粒より小さい670ngのPo210なんて自然界に存在しないのです。
ロシアに敵対するスパイにでもならない限り、この「猛毒」とやらの世話になる事は絶対にないのです。

あのスパイが670ngで殺されたとはとても思えません。
どうやって670ng、1億1100ベクレルが人にとって致命的だと判断したのでしょうか?他に何処かで670ngで死んだ人がいるのでしょうか?
私にはどうしてもこの100ベクレルが100万ベクレルの誤りだとしても、この精度まで分析できた事が理解できないのです。
1億ベクレルだと助かる余地があるのでしょうか?

それにしてもモノは書きようですね。存在し得ない量の物質が「猛毒」となって,塩粒より小さくなって、その辺に転がっているような話になってしまうのですね。
「VXガスの240倍毒性が強く」などと嘘の上塗りの脚色ですね、悪質です。

(一言)

次回の書き込みは8月1日の予定です。