夏の夜は蚊取り線香の煙る先に あなたの横顔がある あなたの小さい耳たぶをくすぐるように ほわほわと流れていく煙 私の指先も ほわほわと あなたの耳たぶに導かれる 桜貝色した爪が あなたの耳たぶをなぞり 煙とともに流れ あなたの唇にたどりつく なにかを呟きそうになる唇を指で押さえる 何も言わないで なにかが壊れるから なにかが消えていくから そろそろ蚊取り線香が終わる・・・・