夜空を見上げて驚いた。昨晩九時すぎのことである。
 
 といっても、なにもUFOの大群を目にしたというわけではなく、ただの星空に小さく驚いたにすぎないのだが・・・・・・。
 
 多くの人にとっては「どうでもいいこと」でしょうが、しし座の四辺形が南天にクッキリ、ハッキリと視認できたことに加えて、冬の夜空の主役を務めたシリウスが西の地平線に吸い込まれるように沈んでいき、さらにふたご座のカストル、ポルックス兄弟も西に傾いていく様子が、これまた明瞭に確認できたのである。
 
 それだけではない。東に視線を転ずれば、オレンジ色の光芒を放つアルクトゥルス(うしかい座)と、真っ白に輝くスピカ(おとめ座)までがきれいに見えるではないか。しかもスピカは、-2.5等級ほどの明るさで輝く木星を、その真上に戴いて昇ってきているのである。

 

 これほど贅沢な春の夜空には、めったにお目にかかれない。冬の夜空を彩っていた星たちと春の星座が入れ替わっていくのは当たり前なのだが、それを見事に一望できるチャンスは、そうそう巡ってはこないのだ。
 
 なぜなら、年間を通じて、夜空の観望に最も不適なのがこの時期だから。「春霞」や「花曇り」などという風情のある言葉が示すとおり、春の大気は水蒸気や塵、ダストを多く含むために(もちろん雲がかかることも多い)、けっして清澄とは言えないのである(花粉症の方の大敵も大気ダストの一部)。
 
 にも関わらず、昨晩はスッキリした大気条件だったためか全天に一点の曇りもなく、東京の片隅からではあっても、星々のきらめきを存分に堪能できた。そのことに驚いたのだが、もしかすると、4月中旬のその時間帯の見事な星座配置を目にできたのは、我が人生で初めてのことかもしれない。
 
 というわけで、昨晩は文字どおり「春の夜の夢」かと思ったほど。
 
 さあて、今晩ははたして、二晩つづきの「春の夜の夢」といきますかどうか・・・・・・。
 
 心にゆとりがある方は(いや、ゆとりなどないと仰る方ほど、かな?)、ぜひ夜空を見上げてみて下さい(東南の空にひときわ大きく明るく輝いて見えるのが木星で、その真下の白い星がスピカ)。