ステロイドが副作用ばかりで効果がなかったためヒフデュラを投与した。ヒフデュラのイメージを意図して下げるつもりはないが、私が経験した薬の効果を嘘偽りなく記する。

 

ヒフデュラはアルジェ二クスジャパン㈱から2024年頃に製造販売承認された新しい薬です。皮下注射ができるので患者自身が投薬を行うことで、時間的負担を軽減することができる。

本来は全身重症無力症の薬で週一回投与する。全身重症無力症では週一回4週で1クールだが慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)の場合は特に決まってない。

CIDPの標準治療法の免疫グロブリン療法やステロイド、血漿交換療法が奏功しない場合の第4の薬という位置付けらしい。

私の主治医は投与が手軽なこともあり、1回目のIVIGがあまり効かない時点でこの薬を紹介してくれて検討していた。

 

作用機序は免疫グロブリンの一種IgGの結合を阻害し、分解を促進し、IgG自己抗体を含む血中のIgG濃度を減少させる。脱髄を起こすマクロファージや補体はIgGを媒介として活性化するので、そのIgGを減らしてやろうという薬。注意が必要なのは現段階では脱髄の障害にIgG自己抗体が絡むというのは仮説にすぎない。主治医もエビデンスはないと繰り返し言っていた。

 

免疫グロブリン療法は正常なグロブリン(IgGもIgMもIgAも全部)を大量に投与して調整するならば、ヒフデュラはグロブリンの8割も占めるIgGを減少させる。それならば私のようなMMNには効かないのではというのが素直な感想だった。主治医にも作用機序が真逆なので効かないのではないか?というような質問はぶつけてみたが、そもそも免疫グロブリン療法がなぜCIDPや多巣性運動ニューロパチー(MMN)に効くのかわかってないらしい。それならば効くとは思えないがやってみる価値はあるかと思い受け入れた。

 

①    投与1回目

この日は看護師さんに投与してもらった。おへそから10㎝ぐらい離れたお腹に投与した。30秒以上かけて注射する。そんなに痛くはない。太ももでもいいらしいがお腹の方が痛くないとのこと。投与後、30分程度安静にして帰宅した。頭が締め付けられる軽い頭痛があった。

 

余談だがヒフデュラは薬価が高く(確か1瓶60万)会計の際に一発で月の医療費上限に達してびっくりした。この時はまだ指定難病の特定医療申請をしておらず財布が痛かった。腹も痛いが財布も痛い。

 

次の日、恐ろしい副作用が出た。朝目覚めて、スマホを少し眺め態勢を反転させ、勢いよくうつぶせになったら猛烈なめまいに襲われた。頭がぐるんぐるん回るのだ。めまいは以前にもあったが1~2分安静にすれば収まっていた。ここまで激しいめまいは初めてで明らかにヒフデュラの副作用だ。とにかく立つことができない。吐き気がするのでトイレに行こうとしてもまともに歩けない。つかまってトイレに行ってひとしきり吐くを繰り返した。

1時間程度たち、横になっていたらめまいが落ち着くことに気がついた。病院に連絡したが、とりあえず来てくれと言われた。診療しないことには、処方薬も出せない。そりゃそうだ。だけども行けるわけがない。ヒフデュラの副作用には浮動性めまいは確かにあったが、そのときたまたま耳石がはがれていて、ヒフデュラの副作用が誘引し過剰反応したのではないかと思っている。とにかくその日は1日中横になっており、動けるようになったのは翌日の明け方だった。それまで何も食わず水分補給の水だけ摂取していた。このまま終わるならそれでもいいけどなぁなんて思っていた。

体の変化は特になかったように記憶している。もはや副作用がひどすぎて覚えていない。

 

②    2回目の投与。

前回から1週間後、看護師さん立ち合いの元、自分で皮下注射した。スパルタンな指導だった。スリーハンドレッドか!前回と逆側のお腹に注射した。いてーよ。絶対慣れない。

この日は副作用対策で主治医がめまいや頭痛薬、吐き止めを処方してくれていた。

2回目以降に体に変化があったと思う。メモには左右の腕の痛み、左手薬指と小指のドロップ。右手小指のドロップと記載がある。

副作用は頭痛のみで2回目の投薬3日目に堪えられなくなり、カロナール錠を1錠だけ飲んだ。それ以降はない、懸念していためまいもなかった。

 

③    3回目の投与

ヒフデュラは薬品概要を読むと、3週間すぎ(3回から4回目)で効果が出だす。効果がある患者の半数は3回目から効果が出る。せっかくだから4回は投与しなければという気持ちだった。しかしながらCIDPの患者では3割程度は4回目で悪化し中止している。

3回目は病院で診察してから皮下注射キットだけ受け取り、会社でこっそり打った。子供が小さいので、注射器に触ったら危ないと思い、会社にキット一式置いておくつもりだった。やり方が悪かったのかすげー痛かった。悶えそうだった。

 

体の方は徐々に指が開かなくなり、握ったままになってきた。私の症状はMP関節の脱力が顕著なのだが人差し指から小指まで開かなくなってきた。この時完全に悪化していると気づいた。

 

3回目の投与から1週間後、主治医に悪化していると訴え、再度免疫グロブリン療法を行い続けた方がいいのではないかと相談した。主治医も同意してくれた。ヒフデュラは免疫グロブリン療法とは作用機序が真逆なので期間は開けなければいけないのではないかと訴え、大丈夫と思うけどねと言っていたが、主治医が調べたらヒフデュラは免疫グロブリンを溶かしてしまうそうだった。最後の投与から3週間あいだを開け入院することになった。

 

この3週間の間はほんとうにつらかった。病状が進み、手の脱力でいつもグーの手なのでしきりに物や壁を使って広げていた。ヒフデュラ初回投与から21日目に昼過ぎ歩いていたら膝が急に立たなくなってきた。膝のジョイントがゆるゆるになっているような状態だ。

23日目には左肩の振戦がひどくなり軽い頭痛とめまいが起こるようになってきた。手首は脱力し力がはいらない。投与から1か月経つ頃には膝に力が入らずすっぽ抜けるような感覚があった。足の裏や膝が痛くなることが度々あった。この時は、もう人生終わっていいけどなと無気力になっていた。妻に言わせると顔色が今までで一番悪かったと言っていた。この時の経験で自分の体に一体なにが起こっているのかと思い、CIDPや多巣性運動ニューロパチーについて調べまくった。

 

CIDPの原因の一つの自己抗体IgGは免疫グロブリンの中では体に入ってきた毒素を無毒化し、多巣性運動ニューロパチーの原因の一つの自己抗体IgMは病原菌などを攻撃する抗体である。(免疫グロブリンと同一の抗体かどうかはわからない。)

私の体ではヒフデュラがIgGを減少させ、悪さをしているIgMが相対的に増えてしまい症状が進行してしまったのではないかと思っています。(あくまでも素人の仮説です。)

そもそも、ヒフデュラはCIDPの薬であり、多巣性運動ニューロパチーのGM1-IgM抗体が陽性な患者の投与はダメなのではないかと思う。エビデンスがない薬は怖い。悪い方に進むと精神をやられます。