
■「しっくい」とは
「しっくい」とは、消石灰(石灰石を焼成・消化したもの)を主成分とする塗り壁のことです。
語源は石灰の唐音(中国読み)である「しっくい(Suk-wui)」からとった当て字です。
この当て字は江戸時代から使われるようになったそうです。
セメントや石膏などは水と反応して固まる水硬性ですが、「しっくい」は空気中の炭酸ガスを
取り込んで硬化する「気硬性」です。
■「しっくい」の歴史
遥か五千年前より、エジプトのピラミッド、ローマ・ギリシャの建物、マヤ文明、万里の長城などで使われています。
エジプトよりシルクロード・・・ラスコーを経て中国は敦煌、そして千三百年前日本に渡りました。
イタリア北部のドロミテが石灰の街として有名ですが、現在輸入はゼロ、全て国内生産で賄える数少ない
豊富な天然資源です。
古代ギリシャの時代からローマ、ルネッサンス、そして近代ヨーロッパへ脈々と継承されてきたフレスコ絵画の
伝統も「しっくい」の材料と施工技術の結晶といえます。
■日本での「しっくい」
日本最古のしっくいは、奈良県明日香村の高松塚古墳で発見された飛鳥時代末期の壁画です。
建材としても、平安時代からもっとも持続性の高い仕上げ材のひとつとして使用され、
姫路城の白い漆喰壁にいたっては数百年に渡って構造体を保護し続けています。
その防火性・耐久性により、法隆寺をはじめ日本建築では土蔵や神社仏閣に多く使われ
明治維新後は、鹿鳴館などの西洋建築が移入されるにあたり、鏝絵(漆喰を盛り上げてつくった浮彫)の技法が
いかされ木造建築に洋風建築を取り入れた擬洋風建築におおきく貢献しました。
■「しっくい」の特徴
★二酸化炭素吸収特性
漆喰の主成分である消石灰(水酸化カルシウム)は、空気中の二酸化炭素を吸収しつづけ、
石灰石に戻ることで固まり炭酸化反応を起こします。
消石灰1トンの使用で0.65トンの二酸化炭素を吸収・分解します。
地球温暖化問題に貢献できる素材です。
★ホルムアルデヒド吸着性
しっくいは高アルカリ性であり、ホルムアルデヒドを科学的に吸着・分解します。
一度吸着したホルムアルデヒドが空気中に再度放出されることはありません。
★天然防かび・抗菌材
主成分の消石灰の機能により、かびや最近の発生・増殖を予防できます。
したがって、湿気を吸ってもかびません。
★結露を防ぐ
消石灰の微細孔が高い吸湿性能が、結露を防止・抑制する効果を有します。
★不燃性
漆喰は燃えません。防火壁として使われてきました。
★リサイクル
その消石灰は、壁面に塗布して乾燥した後、空気中の炭酸ガスと化学反応を起こして徐々に炭酸カルシウムに変わって行きます。
そして、炭酸カルシウムとは実は石灰石と同じものです。つまり、元の原料に戻ってしまうのですから、天然のリサイクルです。
★施工
伸縮性がないので、ひびが入ります。
ひびを入り難くするためには、施工面の下地造りが重要です。専門業者のアドバイスが必要となります。
又、施工精度も職人の腕で左右される部分が多いといえます。
弊社では、実績・技術共トップクラスの施工チームを有しております。 私自身、30年間で道内外300物件以上の特殊仕上げの施工実績を持っております。
左官工事・塗装工事で難しいもの、特殊なものもお気軽にご相談ください。 ただし、施工理念に反する仕上げ材の施工に関してはお断りさせていただく場合があります。
※製品化された漆喰の性能はそれぞれ異なります。
■珪藻土について
珪藻土は太古のプランクトン(珪藻)の遺骸が堆積したものであることは同じです。石灰化した粒子(プランクトン遺骸)の
表面に無数の孔が空いていることから、活性炭のような高い吸放湿効果があります。
しかし、珪藻土には固まる性質(自硬性)はありません。乾くとまた土の状態に戻ります。
”珪藻土入り塗り壁材”を珪藻土とよんでいる場合がほとんどです。
又、珪藻土自体は腐りはしないですが、湿気を吸うために建材にカビが生えることがありえます。そこで珪藻土建材には
防カビ材が配合されていることが多くあります。
珪藻土を左官するためには、珪藻土を固化させるために何らかの固化材を混ぜる必要があります。
石膏、漆喰、セメントに珪藻土を混ぜて用いることもできます。
これらの材料は、それ自身にも吸放湿性能があるので、
珪藻土の吸放湿性質を大きく損ねるということはないでしょう。
珪藻土建材のほとんどは合成樹脂を固化材に使っていますので注意しましょう。
合成樹脂には吸放湿機能が全くありません。だから合成樹脂を加えることは珪藻土の吸放湿性質を阻害します。
WHO(世界保健機関)のホームページによると、珪藻土内に結晶性シリカを3%以上含むものは人体に危険であるとの表記があります。
壁に塗布された壁を吸い込むことはないでしょうが、粉体は施工する職人や将来解体業者が吸い込む恐れが
ありますので、イタリアでは珪藻土を左官材の原料として使用していません。
完全に安全である確証が持てない現状、珪藻土入り塗り壁材の施工はお断りさせていただいております。

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