(7月7日付 編集手帳より)
今月3日に亡くなった、民俗学者の梅棹忠夫さんの紹介がされている。
梅棹忠夫…。無知な私は正直まったくピンと来なかったが、全く知らない名前でもないという気がしていた。
少し検索をかけると、その理由がすぐに分かった。
『知的生産の技術』(岩波新書)の著者である。
「情報カード」と称した、ややでかめのカードに情報を集約して管理するという情報管理術を本で紹介している。その「情報カード」は、今では「京大式カード」と称されている。今では、このサイズ以外にも、いろいろなサイズのカードが文具店で市販されている。
カードで情報を整理するというのは、パソコンが浸透した現在においても、今なお健在である。特に、法学系の勉強において論点をブロック化してまとめるのに用いている受験生はまだ数多く存在していると思う。
理系出身の私も、初めて法学系の勉強をする羽目になったとき、その勉強の仕方がいまいちよく分からず、ハウツー本を色々と読んだ。そのとき、論点をカードにブロック化して集約するという方法を知った。
私にはその方法は残念ながら合わなかったわけであるが、今なお利用されている、カードに情報を集約するという方法を編み出したという点において、梅棹忠夫さんの独創力に感服するところである。無論、本業は民俗学者であったのだから、そのような方法論はいわば手段にしか過ぎないのであり、その方法論が一人歩きして評価されるというのは当の本人にすれば、少し複雑な気持ちかもしれない。でも多くの一般人にとってみれば、民俗学で修めた多くの実績よりも、その方法論の実績の方が身近に感じられることだろう。
ただ、梅棹忠夫さんが考案したサイズのカードが、今もなお「京大式カード」とか「京大カード」という名称で販売されているのは、なんとなく恥ずかしく、できれば別の名前をつけてほしい。これは、京大の学生や卒業生なら、みな同じ感情を持つのではないかと思うのだが。