
林真理子「身も心も」
主人公は、22才で処女なことを気にしています。
24、25才まで処女ならずっとそのままでいた方がマシだと考えています。
本来なら十代で捨てたかったのが叶わず、ハタチで喪失もロマンチックかもと思いきや叶わず。
当時まだ中学生だった私は、読んで恐怖しました。
15才くらいでしたが、私も似たようなことを考えていたからです。
ずっとバージンだったらどうしよう。と…男性は痛みがないから初めてかどうかなんて相手にはわからなくていいなとか、女性は痛いからバレる、年をとってから喪失なんて恥ずかしい!そんなことを考えていたのです…
そのあと主人公が初体験する過程も少しトラウマになっています。なんせ痛がるのです!もう私は、塞がっている女なのだ、正常ではないのだ頼むからやめてくれと。
痛いばかりか、男性もカッコ悪く書かれてます。一回目はスーツで会って二回目に私服を見たら変な色のシマシマの服で、あまり背も高くないことが判明して。ホテルで濡れた髪の背中を丸めた小男が飛びかかってきたの場面が気持ちわるい。
しかし、ことが終わるとやり遂げてくれた男に感謝し、顔もセクシーだとよく見えてきます。
その頃、林真理子作品をよく読んでいました。「ルンルン買っておうちに帰ろう」が大ヒットしていました。エッセイではなく小説の林真理子を読んだのは初めてでした。
とっぱじめからバージンについて苦悩する書き出しは引き込まれました。そのあとも小気味良く話は進みます。
初体験した相手の男性は28才でした。なのに、お父さんは疲れちゃったよ…と行為のあとに言います。もう年寄だろ?って
他に、ビデオパーティーという話も収録されていました。業界人が裏ビデオをみるのに集まる話です。
参加者の30才になる女性が自分の年齢に怯えていたり…
凄く美人ですが、独身で黒人の赤ちゃんを身籠ります。年齢的におろすと後がないと悩み、しかしクロンボの子供を産む自信もなく最後は発狂します。←読んでいて苦しくなりました…
この当時は年齢の基準が今よりずっと高いです。今なら30才は若い部類だと思います。
このビデオパーティーでは主催者の男女は友達です。
実は男性はゲイだとカミングアウトします。女性は、思えば首の後ろに違和感を感じることがあったと書かれている文がありますが、未だによく分かりません。
その部分でゲイと分かるの?
林真理子の書く小説は、順風に人生を歩んでいる人には分からないだろうと思う内容でした。