少年は残酷な弓を射る(ネタバレアリ) | なないろDreamer

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下駄履きの生活者ブログです。

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2011年イギリス 監督リン・ラムジー

何故この映画を知ったかというと、悪の教典の予告編に入っていたからです。
最近の洋画はメッキリわからなくなりましたが、珍しくアンテナが動きました。

主人公エヴァは、かなり出来る滝川クリステルみたいな女性です。
仕事が楽しくてどうしょうもない時に妊娠。

息子ケビンを産みますが、あれだけ仕事が出来たのに、子育ては全然上手く行きません。
泣き叫ぶ赤ん坊を抱きながら気付いたら、工事現場の騒音の中にいました。

夫が抱っこしたらご機嫌になります。
オムツも全然取れなくて新しいオムツをはいた途端ウンチをし、しかもわざと座りました。
この親子は、かなり合わないのです。
元々子供はたいして欲しくなかったのを敏感に察知しているかのように息子ケビンは反発します… 。

普通なら思春期におきそうなことが、産まれた時からずっとなのです。

息子ケビンはやがて美少年に成長しました。
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父親とは相変わらず上手くやっているようです。息子ケビンにアーチェリーを教えたりしています。年の離れた妹も出来て仲良く遊んでいるようです。
でも母親エヴァとは打ち解けようとはせず、自慰行為が見つかると隠しもせずに見せ付けたり、妹の大事にしていたハムスターは排水溝に流します。

詰まりで水の流れが悪くなったという台詞で察しがつきます。
詰まりをとる為の洗剤はカギをかけてましたが、妹の目に入り失明してしまいます。
ケビンの仕業です。
流石におかしいからと夫に言っても流され、反対に離婚を持ち出されます。

でも夫も娘も弓矢で殺されます。

そのあとは学校の体育館でクラスメイトを次々と、タイトル通り「少年は残酷な弓を射る」のです。


何故そんなことをしたのか?母親が困るからです。
そのあと母親は犯罪者の親として酷い扱いを受けます。
時間系列がバラバラな映画ですが、冒頭ではいきなりエヴァは通行人にビンタされてます。
かつては豪邸に住んでいたが、ボロ家に住み、しかも真っ赤なペンキが嫌がらせにかけられ、やっとありついた仕事は、あきらかに自分より無能な人達からのセクハラ、パワハラ。

この映画では「赤」を上手く使っています。最初のトマト祭でトマトまみれになるエヴァの姿はインパクトがあります。凄い喜んでるから(笑)
ペンキもいつも赤。
人を殺すシーンでは血液は出てきません。残酷な描写はありません。

トマトまみれになるのも、出産のイメージにも取れます。

さて、タイトルでネタバレアリと書きましたが、そもそもこの映画題名からしてネタバレですね。
悪い映画ではないので勿体ないです。
後味は悪いですが(笑)
もう母親を、そこまでして苦しめたいのかというやるせなさが。

でも最後面会で、ケビンが「わからなくなった…」と苦しんでいるようなんです。
ケビンは留置所でイジメを受けてるようです。
この親子は実はとても似てます。ケビンの悪いとこはエヴァの悪いところでもあります。

説明は全然ないんですが…今は一人ぼっちの母をケビンは独り占めにできたのではないでしょうか?

でもやり方が間違っていた。原題である

「私達はケビンについてもっと沢山話をするべきだった」


まさにその通りだった。兆候は見えていた、だけど夫は認めなかった。話す機会を失ってきた。何度もチャンスはあったのに。