子無しと垂れ梅。☆ | シン・135℃な裏庭。

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先ほどぼんやりと九州ローカルニュースを見ていたら、熊本の震災後のとあるおばあちゃんのドキュメントがあってました。


おばあちゃん、83歳。

震災で家は崩壊し、ご主人は亡くなったのです。

おばあちゃんが住んでいた一角はすべて更地となっています。


その更地に一本の立派な垂れ梅が可愛らしい桃色の小花を咲かせていました。


おばあちゃんとおじいちゃんが結婚した時に植えた苗木は毎年、人々が訪れるほどの大きさです。

おじいちゃんはとても優しい人だったそうです。

おまえと結婚してよかった。


今が一番幸せ。


これがおじいちゃんの口癖だったそうです。


優しいおじいちゃんは、あの大揺れの日、おばあちゃんに覆い被さって亡くなったそうです。


二人には子供がありません。


一人残されたおばあちゃんは、私も一緒に‥と弱音をはいたこともあるそうです。


更地になった垂れ梅を見にきて下さる人も、もうあまりいないだろう。


例年ほど見事には咲けないだろう。


だから、私が眺めるのだと。


椅子に腰掛け、清らかに控え目に梅を眺めて続けます。


もうすぐかしら?まだかしら?と。



今年も満開になりました。


龍のようなうねりをもつ威厳あふれる老木の垂れた枝先には、赤子のような生まれたての花びらや蕾が見事に咲き誇りました。


抜けるような青空に艶やかな早春の梅の花の群れ。☆


今年も訪れた人々は口々におじいちゃんの優しい思い出を口にします。


おばあちゃんは、生きてそれを聞けた事を、素敵な人と結婚できたことを幸せに思うのです。


垂れた梅の花を、二人で眺めているような、そんな気がするのだそうです。