仕事先の人で
「‥そのかわりに〇〇してくださいよ」と必ず言う人がいる。
すごく親切で熱心で私に好感を持って下さっているのも伝わる。
でも必ず「そのかわり‥」とつける。
子供が小さい時、まだ意のままに操れる時、「そのかわり‥」とやると、実はすごく簡単に操作できるのだ。
一度、「そのかわり‥わがままいっちゃダメよ」的なことを子供が小さい時に言っていたら、母にたしなめられた。
「そのかわりなんて言わなくていい」と。
はっとした。☆
甘い餌をぶらさげて、言うことを聞かせる作戦を無意識にとっていることに初めて気がついた。
それから、「そのかわり」といいそうになる自分を注意深く戒める。
できてないことも多いと思うけど‥意識できるだけで相当違う。
「そのかわり、体でかえしてもらうよ」
その人は、たいして面白くもない古い言い回しを本人はコミュニケーションのつもりで言う。
体を求めてくるなんて!ひどい男ね!的な次元ではなくて、もっと深いところで不自由なその人の育ちを想像する。
三人兄弟の長男だという。
ああ。わかる!ってくらい仕事熱心で責任感がある。私は大好きである。
きっと、優しくていい兄ちゃんだと思う。
ただ、お母さんとかがあまりの忙しさに、「そのかわり‥お利口にしていてちょうだいね。お兄ちゃんだからね。」と、よく利用していたんだと思う。
もちろん仕事だから、ギブアンドテイク的な要素はきれいごと抜きにある。
でも、ギブアンドテイクとかWinWinとかいう言葉そのものが古いし嫌いだから、私はもうそういうアプローチはしない。
もっと渾然一体となってるんだと思うから。
与えるのも与えられるのも、もっと混じりあって境界線も曖昧なグラデーションとなっている。そしてそこに揺さぶられるような悦びと繁栄が宿る。
だから、そうしてあげたいんだという愛情で動くことが多い。
私はその人が好きだからこうすればもっと良くなるし、不要だったらアッサリと引き下がりますよ。という感じ。
この前、仕事の終わりにまたその人が、「そのかわり‥」と言い出した。
また、そのかわり身体を‥という寒い冗談を言うのかな?とニコニコしていたら、
「そのかわり‥‥‥‥」
少しの沈黙があって
「また来てください‥」
と、小さく言った。。
「はい。(*^-^*)」
そのかわり‥なんて言わなくてもまた来ますよ。☆
だって私はあなたが大好きだから。☆
というキモチを放ちながらそう答えた。