
もうすぐひとつにもどるときが来るね、
とふたりは同時に思う。
最後に何かの姿になりたい?
とぼくはきみに聞く。
わたしたちの魂がすごく若かったときの、
あの美しい星の、ヒトといういのちの姿になりたい。
ときみがぼくに応える。
ふたりは再び意識の力で一瞬にしてあの星のいのちとして生きたときの
「男」と「女」の姿になる。
あの星のいのちとして生まれ、
無数の人生の数だけ何度もめぐりあったときのように。

そして瞳と瞳で見つめあう。
手と手を合わせてみる。
互いの頬を両手で触ってみる。
最後にふたりは静かに抱きあってひとつになる。
ふたりが感じるものは、お互いの魂の「絶対温度」だ。
それはあの星にいたころ、ふたりが求めたいのちのぬくもりと似ている。
懐かしさという温度。
きみの瞳から涙がこぼれる。
不安ではなく、安寧の涙。
後悔ではなく、すべてに満たされた涙。
悲しみではなく、浄化の終わりの涙。
そしてその涙は宇宙空間へ無数の光の結晶となって流れ出ていく。
それは無限の光の帯に変わって、
永遠のかなたへ消えていく。
時を越えて、未来へ、過去へ、すべての宇宙、すべての次元へと
君の涙は静かにながれていく。

『永遠という名の一瞬』より。
十和音 響さん。。