ふくらみきった風船 | シン・135℃な裏庭。

シン・135℃な裏庭。

ブログの説明を入力します。



一人の子がサンテグジュベリの「星の王子さま」をかきうつしていて、


この字な~にとききにきたとき


私は、この本を今日の教材に使おうと思った。


飛行機でとべば


地理も教えられる。数も教えられる。砂漠というものも教えられる。


歴史も、そしてなにより、


王子さまの問う


人間のいちばんたいせつなものが


教えられる。そう思ったから。


「ねえ。いろんな勉強をいっぺんにします」


私は本をひろげて、黒板の上に絵をかいた。


「この本を書いた人が、ちいさいときに書いた絵だけど、なにに見える?」


(サンテグジュベリの絵で、うわばみが、ぞうをのみこんだ絵をかいたのだけど、大人は帽子というもの)


子どもたちは、楽しそうに答える。


目玉焼き、オムライス、雲、湖、野原、エンエン泣いてる子、おならの絵、おねしょ…


私は、このいろんな答えを聞いたとき


この子どもたちの豊かな発想に、


心の中で信じていたことが


まちがってなかったことがうれしかった。


この子たちは、足し算、引き算ができなくても、

絵はかけるわ、


絵がかけるわ。


私の授業は、お休みもなく、


歴史になり、地理になり、算数になり、


そして、自動車事故で重傷の、


お友だちのお父さんの無事を祈ることで


授業は終わった。


なんと、1つのことに集中できないはずの小さな子が、


お休みもなく、四時間ぶっ続けでやったのだ。


私が、彼と彼女にもっとも欲しいとのぞんでいる

集中感覚教育。


その日から私は、彼と彼女たちに、


ほんとうに自由な絵をかかせたいと願うようになった。


しあわせにも、長年のお友だち、谷内六郎さんが

絵を書きにきてくださるようになり、


去年から思いきって美術クラブを受けもたせてもらった。





そして、ある日突然、


谷内さんのことばを借りれば


奇跡がおきた。


そう。


ふくらみきった風船に、

針をちょっとあてたように


彼と彼女の才能が


はじき出されたのだ。


ある日、立ち寄られた新聞社の方に


「展覧会をしませんか」


とさそわれて、12月、

東京の一流デパートで300点の絵の展覧会をひらいた。


そのころ、私は2作目の映画ができあがり、


心身ともにつかれていたけれど


毎日、会場でおじぎをした。


子どもたちの才能をみとめてくださって


ありがとう。


見にきてくださって


ありがとう。







ねむの木のこどもたちより


宮城まり子さん